白髪染め ヘナカラー

ヘナカラー(ヘナ白髪染め)~数千年の時を重ね脈々と受け継がれる伝説

 

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2019/10/03

 

日本の伝統食品である味噌は、大豆・米・麦などの穀物に、塩と麹を加え、時間をかけ発酵させて作るものです。

ところが、いま店頭にならぶ味噌は、殺菌・長期保存・変質や変色の防止・風味づけなどのために、多くの化学合成物質が配合され、熟成期間も非常に短くなっています。

 

もちろん、これらの商品は消費者のニーズに応えたものであり、もはや生活に欠かせません。

何を言いたいかといえば、日本人として「本物の純粋な味噌」も知っておきたいですね、という程度のことです。伝統の製法を継承する製品は、いまでも存在するのですから。

 

前置きは長くなりましたが、テーマを本題のヘナカラーに移すと、味噌に比べて話はかなり深刻になってきます。

なぜならば、白髪を染めるためには「染料」が必要であり、その選び方によっては、重大なダメージが蓄積してしまうからです。

 

本編で詳しく述べますが、ヘナカラーの起源を探ると数千年さかのぼりますので、その安全性と有効性を、人類の歴史が証明しているといえるでしょう。

ところが、いまや白髪染め製品は多彩で、「本物の純粋なヘナカラー」は、ごく一部の選択肢にすぎません。

1つだけ確かなことは、数千年の時を重ねた今でも、「伝説の白髪染め」は受け継がれているということです。

 

当サイトはこれまで、ヘナカラーの姿をテーマごとに深く掘りさげてきましたが、当記事ではヘナカラーの全体像を整理しました。

参考記事まで含めると、ヘナカラーに関する文献を全て読むのと同じ情報量ですから、まさにヘナカラーの案内役となるはずです。

 

本物のヘナカラー(ヘナ白髪染め)は、数千年の時を重ねてこの世に残された「生きる伝説」といえるでしょう。

その染まり具合や色合い、髪や頭皮の変化を文章で伝えるには限界がありますので、ぜひ実際に体感してみてください。

 

本物の純粋なヘナカラーを選ぶなら、以下をご覧ください。
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ヘナカラー伝説

ヘナカラーのすべてを語るうえで、まず最初に確認しておきたいのは、その起源です。「数千年の時を重ね」とは、いつ頃が始まりなのか、その点を明確にしてから、少しづつ実用的な内容に移っていきましょう。

ヘナカラーとは、ミソハギ科の植物ヘナ(henna、ヘンナ)を染料として使用する、白髪染めのこと。その源流は、ヘナ(henna、ヘンナ)の起源と重なるはずです。

 

ヘナ(henna、ヘンナ)の文化的な歴史を、神との関係性まで含めて、もっとも深く掘りさげた文献の1つといえるのが、和光大学 表現学部紀要 2003年 第4号「ヘンナをめぐって」。

著者は、アラビア書道家の佐川信子さんです。この文献に沿って、「ヘナカラーの源流=ヘナ(henna、ヘンナ)の起源」のみに焦点を絞り、たどってみることにします。

 

出典:和光大学表現学部紀要 表紙

 

植物のヘナ(henna、ヘンナ)は、北アフリカから西南アジアの、乾燥した水はけの良い丘陵に育ちます。

通常は高さ2~3メートルで、ときには6~7メートルにまで成長し、春から夏にかけて咲く白または黄色い小さな花が芳しい香りを持つので、古来より花や種子から香油が作られてきました。

 

ちなみに、ヘナ(henna、ヘンナ)が「指甲花」として日本に初めて紹介されたのは、1590年に中国で植物百科事典の「本草綱目」が出版されて、まもなくしてからのようです。

江戸時代には、爪を染めるために「鳳仙花」が使われていたこと、夏に湿度が高くなる日本の気候に植物のヘナ(henna、ヘンナ)が適さないことも、日本で定着しなかった理由として考えられます。

 

旧約聖書の一節に、ヘナ(henna、ヘンナ)は登場していました。

 

恋しい方は香り高いコフェルの花房

エン・ゲディのぶどう畑に咲いています(「雅歌」1:14)

 

「コフェル」とはヘブライ語でヘナ(henna、ヘンナ)のこと、エン・ゲディは死海の西岸にある場所の地名です。

名高いソロモンの雅歌に繰り返し詠われることから、当時すでに人々にとって、馴染み深い植物であったことがうかがわれます。

 

【補足】(NHKテキスト「旧約聖書はいつ、どのように編纂されたのか」より)

旧約聖書とは、ユダヤ教の聖書です。

ユダヤ教が民族宗教として成立したのは、「出エジプト(紀元前13世紀)」の頃。それから800~900年の時を経て、紀元前5~4世紀頃に、まとまった聖書が成立しました。

 

ヘナカラーの源流~アラブ諸国

古代エジプト人は、とても花を好んだようで、たとえばツタンカーメン王(紀元前1354~1345年)の棺を覆う布や、ラムセス2世(紀元前1301~1235年)のミイラには、植物の実や花びらで作られた花輪が幾重にも重ねられていたそうです(出展: 「ツタンカーメン発掘記 H.カーター 筑摩書房」)。

いっぽう、花の香りとミイラの状態を長く保つために、古代エジプト人は香油作りの技術を発展させます。

 

出典:ツタンカーメン発掘記

 

古代ローマの博物学者、政治家、軍人であるプリニウス(23~79年)は、「博物誌」のなかで、次のように述べています。

 

誰が最初に香油を考え出したかは伝えられていないが、トロイア戦争の時代(紀元前13世紀ごろ)に香油はなかった。

 

「ツタンカーメン発掘記」によれば、ツタンカーメン王の棺の外側やミイラの上には、清めるための香油がふんだんに注がれていたそうです。

彼がこの世を去ったのは、トロイア戦争より150年ほど前のことなので、最初に香油を作り始めたのは、古代エジプト人ではないかと考えられます。

 

プリニウスの記述には、ヘンナ油がしばしば登場し、次のように述べたそうです。

 

ナイル川沿岸のカノプスの町に生えた木から採ったものが最も上質で、二番目はユダヤのアスカロン、三番目はキプロス島のもの。

 

さらに、プリニウスはヘナ(henna、ヘンナ)の薬効についても、次のように述べています。

 

この油には温める性質があり、筋を柔らかくする。

葉は、胃や炎症を起こした子宮の部分に貼りつける。新しい葉を噛めば、潰瘍、腫れもの、コンジロームを癒す。葉を煎じたものは、火傷や脱臼によい。

花と酢を一緒に塗りつけると、頭痛を抑える。花は拡大性潰瘍や化膿性潰瘍を治す。

 

ヘナ(henna、ヘンナ)には、地肌の状態を整えて髪の発育を促す働きもあり、預言者ムハンマドが「白髪染めは、ヘナでするのがよい」と助言したと伝えられます。

砂漠で生活するベドウィン(アラブの遊牧民族)の女性たちは、手のひらや爪、足の裏、かかとにヘンナ・ペーストを塗って皮膚を保護し、乾燥によるひび割れを防いだそうです(下の画像は、「ヘンナ・ペーストを塗りつけたベドウィン女性の手」)。

 

出典:ヘンナをめぐって

 

アラブの人々に伝えられる、ヘンナ伝承として最も古いものは、次のようなものです。

ヘナ(henna、ヘンナ)が、古代からアラビアの砂漠周辺にも野生しており、ベドウィンたちはその薬効をすでに知っていたことを示しています。

 

【補足】
イスラム教徒の伝承では、アブラハムは妻ハガル、息子のイシュマエルとともにメッカにやってきて、ノアの時代の大洪水で流れたカァバを再建したとされます。

 

初めてヘンナで手足を染めたのは、アブラハムの妻でイシュマエルの母ハガルであった。

砂漠の旅で喉が渇いたイシュマエルは、水が欲しいと泣き叫ぶ。水を探し求めて走り回る母のハガルを、神は憐れんで、イシュマエルが砂を掘った場所に泉を湧き出させた。

これがザムザムの泉で、現在はカァバを囲む聖モスクの中庭の地下にある。

泉の水が流れてしまわないよう、回りに積む小石を拾い集めたハガルの手はひどく荒れて、ひび割れてしまった。

そこにベドウィンたちがやって来て、ヘンナの木があることを教え、彼女が葉を細かく砕いて手を染めたところ、傷は癒えたという。この時から、ヘンナが治療に使われるようになった。

 

古代エジプトには、ヘナ(henna、ヘンナ)で爪や手のひら、足の裏を染めていたことの例として、クレオパトラ(紀元前69~30年)を取りあげる場合もありますが、それよりも前からすでに染料として使用されていたようです。

記録に残る著名人は、エジプト第18王朝の王妃ネフェルティティ(紀元前1350年~1334年頃に在位)

古代エジプト三大美女のひとりで、横顔の美しさが世界一と言われる彼女は、各種のボディーケアに加えて、爪にヘナ(henna、ヘンナ)で色をつけていたといいます。

 

出典:ネフェルティティも
パックしていた 表紙

 

詳しくは、以下の記事をご覧ください。
白髪染めトリートメント~歴史に名を残す伝説の美女たちの美容術とは

 

ヘナカラーの源流~インド

文献「ヘンナをめぐって」はイスラム世界の考察が中心で、ヒンドゥー世界におけるヘンナの起源については、次のような記述だけです。

「ヘナ(henna、ヘンナ)は、ヒンドゥーの女神ラクシュミー(下の画像)に愛されているといわれ、美・幸福・富・繁栄の神であることから、幸運の植物として結婚式にも欠かせません。」

 

出典:ヘンナをめぐって

 

インドに関して記述が少ない理由は、ヘナ(henna、ヘンナ)の利用が、インド伝統医学(アーユルヴェーダ)に基づくからではないでしょうか。

アーユルヴェーダは、誕生から数千年経過した1980年代に再編成され、現在のアーユルヴェーダを正式には「マハリシ・アーユルヴェーダ」と呼んでいます。古来の伝承を、そのまま受け継ぐ文献が存在しないようなのです。

 

2015年に出帆新社が発行した、「増補改訂新版 Mehendi Art メヘンディアート」。ヒンディー語による、ヘナ(henna、ヘンナ)の呼び名がメヘンディです。

著者のパティル シーマさん(アーユルヴェーダ・パンチャカルマ・セラピスト)は、同書の中で次のように述べています。興味深いことに、ヘナの起源については、古代エジプトの歴史とピッタリ一致するのです。

 

出典:メヘンディアート 表紙

 

ヘナは約3000年前から使われてきました。

知識は文献より口で伝わってきたものが多く、どこで始まったかは明確にされていません。

ヘナは抗菌&殺菌、日焼け止め、皮膚病、やけど、熱、白髪染め、髪のトラブル、鎮痛(特に頭痛)、不眠、不妊、老廃物の排泄など、さまざまな健康法に使われてきました。

 

ヘナカラー伝説

以上、文献をたよりに「ヘナカラーの源流=ヘナ(henna、ヘンナ)の起源」をたどってきた結果、次のことが明らかになりました。

 

植物のヘナ(henna、ヘンナ)は、イスラム世界およびヒンドゥー世界では、聖なる力、平安と健康、喜びや美の象徴として、大切に受け継がれてきました。

紀元前1300年以上前から、香油生薬染料として利用され、その歴史は少なくとも約3000年以上という、まさに自然の恵みです。

現在でも、北アフリカの砂漠地帯や、マグリブ地方、ペルシア湾岸、パキスタン、インドなどで、多くの人に日常生活の必需品として愛用されています。

 

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2 ヘナカラーの効果とデメリット 目次

 

ヘナカラーの効果とデメリット

ヘナカラーに使用されるヘナ(henna、ヘンナ)は、香油・生薬・染料として利用されてきましたが、具体的な効果として文献で確認した項目をすべて掲載すると、次のようになります。

  • 皮膚病の予防
  • 止血
  • 吹き出物
  • やけど
  • 打撲
  • 防腐剤
  • 皮膚炎
  • 抗菌&殺菌
  • 日焼け止め
  • 白髪染め
  • 髪のトラブル(地肌の状態を整える)
  • 鎮痛(特に頭痛)
  • 不眠
  • 不妊
  • 老廃物の排泄
  • 肝臓の毒素を取り除く
  • 筋を柔らかくする
  • 胃や子宮の炎症
  • 潰瘍、腫れもの、コンジローム
  • 脱臼
  • 拡大性潰瘍、化膿性潰瘍
  • 睡眠が深くなる
  • 生理不順
  • アンチエイジング
  • 放射線による細胞障害の予防・回復
  • 牛の不妊治療

 

>>「2 ヘナカラーの効果とデメリット 目次」へ戻る

ヘナカラーの効果

医療技術が発達した現代で、今なお世界から需要があり、受け継がれ利用されているのが、ヘナカラーといえるでしょう。

ヘナカラーの効果を整理すると、次のようになります。

 

【白髪染め】

ヘナ(henna、ヘンナ)に、インディゴ(ナンバンアイ葉)やハーブ類をブレンドして、さまざまなカラーに仕上げることができる。

 

【トリートメント】

ヘナ(henna、ヘンナ)の繊維質が、髪の表面をなめらかな状態に整え、トリートメント剤のはたらきをする。

 

【髪のハリとコシ】

地肌の状態を整えて髪の発育を促し、髪のハリとコシを増す。

 

>>「2 ヘナカラーの効果とデメリット 目次」へ戻る

ヘナカラーのデメリット

特に女性にとって、ヘアケアは永遠のテーマであり、古代ローマにも白髪染めの習慣があったといいます。

ところが、「成分の危険性」という概念は少なく、自家製の調合によるヘアカラーで染めるケースも多いため、抜け毛や薄毛の悩みは絶えなかったようです。

 

歴史は繰り返されます。

しかも、ヘナカラーを取りまく環境は、さらに複雑な世界へと変化していくのです。

 

白髪染め製品の発明

現在の2剤方式による白髪染めが、フランスで発明されたのは1883年。使用される酸化染料(いわゆる、ジアミン系)は、配合される薬剤と化学反応して、髪の内部で発色します。

日本で初めて、酸化染料を使用した白髪染めが発売されたのは、明治38年(1905年)です。すでに当時から、ジアミン系の有毒性は認識されており、製品開発の優先課題は、湿疹やかぶれへの対応でした。

 

出典:日本の生活文化史 表紙

 

明治初期から第二次世界大戦前までの、日本における白髪染め開発について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めの発明と生活文化史~明治から昭和と課題は頭皮の刺激だった

 

新たな化学染料

ジアミン系の酸化染料による、「アレルギー性接触皮膚炎」のリスクが話題となるいっぽうで、続々と白髪染め関連製品が登場します。

使用する染料も、酸性染料(タール色素)に加えて、新たに「HC染料」「塩基性染料」を化粧品に配合することも認められ、製品のラインナップは多様化しました。

 

新たな染料による、体への影響は未知といえますが、ジアミン系と同等以上のリスクを指摘するレポートも公表され、トラブルの発生は絶えません。

 

出典:食品と暮らしの安全 表紙

 

白髪染め関連製品の成分について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めトリートメント~ヘアカラーの成分と頭皮トラブルに要注意!

 

ヘナカラーではない!

ヘナカラーとは、ヘナ(henna、ヘンナ)にインディゴ(ナンバンアイ葉)やハーブ類をブレンドして色味を調整するわけですが、この「ブレンド」という点に、想像を絶する幅が生まれてきます。

というのも、消費者は「粉の色が鮮やかで、安くて、キレイに早く染まる」製品を求め、製造者や理美容院はニーズに応えながら利益を追求するからです。

 

結果的に、以下のような物質を含む「ヘナカラー」という名の製品が、世界中にあふれる状態となってしまいました。

  • 酸化染料(ジアミン系の染料)
  • 酸性染料(タール色素)
  • HC染料
  • 塩基性染料
  • ブリリアントグリーン(緑色の化学色素)
  • ピクラミン酸ナトリウム(橙色、赤色系の化学色素)
  • 雑草の葉
  • 緑色に着色した土
  • 防腐剤
  • 合成界面活性剤

 

たとえば、上記の中で「雑草の葉」が植物のヘナに混入されていれば、かりに成分検査を行っても絶対に検出することはできません。

ヘナカラーの評判とは、いったい何なのか。もはや、本物の純粋なヘナカラーに対するものではないのです。

 

出典:aromatopia 表紙

 

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
⇒ ヘナカラーのデメリット~ヘナをやめたい理由はヘナが原因ではない!

 

ヘナカラーの見分け方

2006年に、「独立行政法人 国民生活センター たしかな目」が実施したヘナカラー製品の成分検査によると、12社の製品のうち8製品には、ローソン(ヘナの葉に含まれる色素成分)がほとんど含まれていませんでした。

それから10年が経過し、2016年3月に米国ハーブ製品協会(AHPA)が発行した「メディカルハーブ安全性ハンドブック」にも、「ブラックヘナ」によるアレルギー性接触皮膚炎のリスクは掲載されています。

 

製品のパッケージを見て、「天然のヘナカラー」だと思って購入しても、じつは天然100%ではなく、かぶれてしまった例は多いのです。

 

出典:たしかな目 表紙

 

ヘナカラー製品の成分検査について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメントの有害ブラック商品に注意してください!

 

天然100%ナチュラル・ヘナ

見た目も香りも抹茶(または畳い草)のようで、粉の状態でも水と混ぜてもうぐいす色です。

水と混ぜてペースト状にしてから、時間が経過すると、黄土色または茶色に近くなります。

 

出典:美髪再生 表紙

 

詳しくは、以下の「2 ナチュラルヘナを見分ける方法」をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めの方法と時間~自宅で染める前のシャンプーや洗い流し方も

 

ブラックヘナ

粉の色は黒で、金属系の匂いがします。

酸化染料(ジアミン系)や、劇薬の酸化バリウムが含まれているケースもあり、かぶれる可能性など注意が必要です。

 

ダークブラウンヘナ

粉の色は茶色が多く、グリーンのものもあるため、天然のヘナカラーと間違えてしまう可能性があります。

水に混ぜると黒くなり、匂いは金属系です。

 

他のテクニック

ヘナカラーは、ヘナ(henna、ヘンナ)の葉に含まれる色素ローソンが、髪の成分ケラチン(たんぱく質)と結合することで白髪を染めるものです。逆にいえば、ケラチン(たんぱく質)がなければ、着色しません。

たとえばティッシュなど、たんぱく質を含まないもので粉を包み、全体を湿らせて色がつくようであれば、化学染料が含まれていることを確認することができます。

 

左:ナチュラルヘナ 右:ケミカルヘナ

 

また、ヘナカラーのペーストは、時間の経過とともに酸化が進んで、黄土色または茶色に変色します。

化学染料が含まれていれば、たとえばレモン汁などを加えて酸化を進めても、ペーストは変色せず緑色のままです。

 

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>>「2 ヘナカラーの効果とデメリット」へ戻る

 

ヘナカラーの特徴と使い方

ヘナカラーは、人類の歴史が安全性と有効性を証明した自然の恵み、生きる伝説の「白髪染め&トリートメント」です。

ここから先は、天然100%のナチュラル・ヘナ(henna、ヘンナ)によるヘナカラーを使用することが、前提であるとお考えください。

 

かりに、「96%オーガニックの安心製品です」と表示されていたとして、残りの4%は化学染料かもしれません。

「4%くらいなら、大丈夫だろう」などと、根拠のない勝手な判断をしないでください。化学染料のリスクを、甘くみないでいただきたいのです。

 

>>「3 ヘナカラーの特徴と使い方 目次」へ戻る

究極の無添加

天然100%ヘナカラーの成分は、葉の粉だけです。使用する前に、お湯と混ぜてペースト状にして塗るため、製品には水を含みません。そのため、防腐剤や合成界面活性剤もまったく必要ないのです。

しかも、「ヘナカラーの効果」で示したように、ヘナ(henna、ヘンナ)には防腐剤・抗菌・殺菌の効果もあるのですから、絶妙な自然の恵みといえるでしょう。

 

市場には「無添加」をアピールする製品もありますが、化粧品は水を含むため、防腐剤合成界面活性剤の配合が不可欠です。

成分表で、ヘナカラーと他の製品を比べてしまうと、完全に異次元であることが明らかになります。もはや、比較することに意味はないといっても良いでしょう。

 

出典:新ヘアカラー入門 表紙

 

詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメント究極の無添加~市販の天然100成分を検証

 

>>「3 ヘナカラーの特徴と使い方 目次」へ戻る

安全性

天然の植物にも防衛機能は備わっていますから、使用には何らかのリスクを伴うでしょうし、状況によっては許容量があるはずです。

ヘナカラーの安全性に関する情報を、データとともに整理しました。

 

出典:メディカルハーブ
安全性ハンドブック 表紙

 

ここでは概要を掲載しますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメント~妊娠中の危険性や癌とローソンの関係は?

 

妊娠中、生理中

ラットによる試験では、ローソン(ヘナカラーの色素)の経口投与による胎児毒性は認められません。母体への毒性はわずかに認められますが、ヒトの場合でどの程度に相当するかは不明です。

なお、授乳期間中におけるヘナカラーの安全性は、確認されていません。

 

ちなみに、「1 ヘナカラー伝説」で参考にした、「増補改訂新版 Mehendi Art メヘンディアート」の著者であるパティル シーマさん(アーユルヴェーダ・パンチャカルマ・セラピスト)は、次のように述べています。

「妊娠初期や生理中は、なるべく使用を控える。または、頭皮から離して髪だけにつける。生理の1~2日前にやるのがベスト。」

 

乳幼児や子供の使用

遺伝子疾患の1つである、「グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症」のある、乳幼児および子供の使用は禁止ですので、注意してください。

 

発がん性

近年の研究では、ローソン(ヘナカラーの色素)に発がん性は認められません。

 

飲む危険性

ヘナカラーは「外用のみの使用」であり、飲むと危険性がかなり高いので、注意してください。

 

>>「3 ヘナカラーの特徴と使い方 目次」へ戻る

ヘナカラーは、天然の植物による草木染めですから、粉の品質(原産地、その年の気候)や染める人の髪質によって、色味が微妙に変わってきます。

化学染料と違って色味が一定ではありませんから、染めてみなければ出来上がりの色は分からない、とさえ言えるかもしれません。

 

しかも、使うたびに色が重なり、濃くなっていくわけです。

考え方によっては、ヒトそれぞれに個性のある、自然な仕上がりになると、言えるのではないでしょうか。

 

染まり具合

ヘナカラーは、キューティクルのすきまにも浸透して、髪のケラチン(たんぱく質)と結合しますので、退色はほとんどありません。

たとえばヘアマニキュアは、その名のとおり髪の表面に塗るだけなので、一時的にキレイに見える製品であり、染める仕組みはまったく異なります。

 

インディゴやハーブ類による調整

ヘナ(henna、ヘンナ)に含まれる、ローソンと呼ばれる色素は、赤橙色です。その点が、化学染料を含む製品を生みだす理由の1つともいえます。

白髪の量にもよるでしょうが、特に日本人は黒髪を求める人も多いため、「赤橙色」だから敬遠するというケースがあるかもしれません。

 

もちろん、赤橙色といっても重ねるたびに色味が濃くなっていくため、人によって仕上がりに違いはあります。

しかも、ヘナカラーにはヘナ(henna、ヘンナ)の色味を変える方法も用意されており、その中心となる素材がインディゴハーブ類なのです。

 

インディゴとは藍(あい)の青を表す名前で、茜(あかね)とともに人類最古の植物染料の1つでもあります。

プロでない人が色味を選ぶのであれば、ヘナ(henna、ヘンナ)・インディゴ・ハーブ類をブレンドしたヘナカラーを使用するのが、現実的といえるでしょう。

 

出典:色の名前事典 表紙

 

詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めヘナにインディゴを混ぜる染め方?時間と頻度やり方の決定版!

 

黒髪の染まり方

黒髪を、ヘナ(henna、ヘンナ)だけのヘナカラーで染めると、黒髪の表面に薄い赤橙色のセロファンを貼ったような状態になるので、ほんの少し明るくなる程度で外観的には分かりません。

トリートメント効果で髪のツヤが増しますから、明るい場所では、やや赤味をおびて輝きます。

 

そもそも、ヘナカラーは頭皮と髪を元気にする日用品ですから、白髪のない若い人にもオススメです。

もちろん、インディゴやハーブ類をブレンドしたヘナカラーであれば、輝く色合いもかわってくるでしょう。

 

白髪の量による使い分け方

ヘナカラーとのつきあい方として、黒髪と白髪の割合によって、選択肢を変えることができるのも、魅力の1つです。

 

すべて黒髪か、白髪が20~30%以下であれば、純度100%のピュア・ヘナ(henna、ヘンナ)が最も効果的といえるでしょう。

髪のダメージは回復して、ツヤ・ハリ・コシが増しますし、黒髪の一部に明るい色が混ざった雰囲気に。白髪の染まった部分も、使い続けると色が濃くなっていきます。

 

黒髪よりも白髪が多い人で、明るい色に抵抗がある場合は、インディゴやハーブ類をブレンドしたヘナカラーを使うことで、色味を調整することも可能です。

白髪の部分だけがブラウン系に染まり、使うほど色が濃くなっていきます。

 

ほとんど白髪だったり、年齢に関係なく髪をあまり染めたくない人は、ピュア・ヘナ(henna、ヘンナ)の割合を1割以下にして、複数のハーブをブレンドする方法もあります。

色のつかないトリートメントとして使うことで、頭皮や髪のダメージを回復していくと良いでしょう。

 

出典:トリートメント ヘアカラー ヘナ 表紙

 

詳しくは、以下の記事「1.4 2つの効果を使い分けるアドバイス」をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメントの効果と安全性~美容院プロがアドバイス!

 

>>「3 ヘナカラーの特徴と使い方 目次」へ戻る

注意点

ヘナカラーの安全性と有効性を、人類の歴史が証明しているとはいえ、使用にあたって事前に承知しておいたほうが良い点もあります。

冷静に考えれば、ハードルの低い注意点といえるため、それらを念頭において使い始めれば、スムーズに使い続けることができるでしょう。

 

パッチテスト

天然100%ヘナカラーは、化学物質によるリスクは完全にゼロなので、不安要素があるとすれば植物アレルギーのみ。

アレルギーというのは、ある特定の物質に対して敏感になった状態です。体質によっては、植物の花・葉・樹液などに含まれる物質が、原因となる可能性を否定できません。

 

アレルギー性接触皮膚炎を、事前に予防する検査として、もっとも重要なのがパッチテストです。

「遅延型アレルギー反応」は、原因物質に触れてから、24時間から48時間後に反応が起こるため、48時間が判定の目安となります。

 

諸外国におけるパッチテストの方法に関する調査をみると、パッチテストの箇所については、腕の内側が3ヶ国、前腕の内側が3ヶ国、耳の後ろが4ヶ国となっています。

さらに、パッチテストの判定時間については、48時間後を基準の1つとする国が最も多いようです。

 

 

パッチテストの背景とやり方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメント【パッチテストのやり方と48時間の理由】

 

パーマとの相性

ヘナカラーにはトリートメント効果があるため、パーマをかける直前にヘナカラーをすると、かかりにくくなります。

ヘナカラーとパーマを併用するのであれば、パーマを先にして1週間ほど経過してから、傷んだ髪をヘナカラーで修復するのが良いでしょう。

 

そもそも論でいうならば、パーマや化学染料の使用をやめて、天然100%ヘナカラーによる頭皮や髪の再生をオススメします。

医療の専門家によれば、パーマ液のリスクは強力で、同じような薬剤を病院で使用した場合には、そのまま排水溝に流すことはできないそうです。

 

出典:あたまから元気 表紙

 

ヘナカラーとパーマの相性およびパーマの真相について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナ白髪染めトリートメント【ヘナとパーマの相性や順番および期間】

 

ヘナショック

シャンプー・トリートメント・ヘアカラー・パーマなどの薬剤によって、髪が傷んでいると、「ヘナショック」と呼ばれる現象の起こる場合があります。

髪がきしんだり、パサパサになるもので、髪の成分に対する収斂作用によるものです。

髪の傷みが原因ですから、3回くらい続けると、髪の表面が整ってツルツルに仕上がりますので、安心してください。

 

匂い

数日間は、髪が濡れているときに多少の匂いはありますが、乾くと匂いはとれますので心配いりません。ただし、匂いですから、好き嫌いはあるでしょう。

もちろん、天然100%のピュア・ヘナ(henna、ヘンナ)と、各種ハーブを配合したものでは、香りが違います。

 

色落ち、色移り

ヘナを使用した当日から、翌日までは色落ちするので、特に髪の長い人は洗髪を念入りに行なってください。

また、入浴後に使用するタオルや、枕カバーへの色移りにも注意が必要です。

 

>>「3 ヘナカラーの特徴と使い方 目次」へ戻る

使い方

ヘナカラーの安全性や有効性はこれまで述べてきたとおりですが、さらに実用面で次のようなメリットもあります。

  • 自宅で手軽にできるため、美容院と比べて圧倒的に経済的
  • 美容院に通う必要がないため、時間的な自由度が増す。

 

製品による違いはありますが、ここでは一般的な使い方を簡単に整理しておきましょう。

 

 

ヘナカラーの作り方と使い方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ ヘナカラーとは白髪染めトリートメント!色のデメリットへの対策は?

 

頻度

ヘナカラーは、髪の成分と結合して染まるため、退色はほとんどありません。

健康な髪であれば、トリートメント効果の目安は約1ケ月で、頭皮と髪のケアを心がけるのであれば週に1回が理想的です。

 

準備するもの

使用する水は、水道水よりミネラルウォーター、軟水より硬水のほうが効果は高いようですが、どんな水でも使用することができます。

準備するのは、次のようなものです。

  • ぬるま湯(または水)
  • プラスチックまたはガラスの容器(金属製はヘナと化学反応する可能性があり適さない)
  • フェイスタオル
  • ペーパータオル
  • 泡だて器
  • 使い捨てビニール手袋
  • ハケまたは未使用の歯ブラシ

 

 

作る方法

あらかじめ、粉の固まりを、つぶしておきます。

  1. 粉、ぬるま湯(または水)、容器を用意。
  2. ぬるま湯(または水)を、粉の全体にかける。
  3. 泡だて器で混ぜる。
  4. 均等に混ぜ合わせて、ペースト状にしていく。
  5. できあがりは、マヨネーズよりも少しゆるめの感じ。
  6. ラップをして、常温で保存。

 

出典:最高のヘナを求めて

 

染める前のシャンプー

ヘナカラーを使用する前に、洗髪をする必要はありません。乾いた髪に、そのままペーストを塗ってください。

強い薬剤などの入ったものを利用した後など、もし洗髪する場合は、市販のリンスやトリートメントを使用しないよう注意が必要です。配合されるコーティング剤で、ヘナカラーの成分が浸透しにくくなります。

 

塗る方法

ヘナカラーを、頭皮と髪にすりこむように、マッサージしながら塗っていきます。

  1. 髪に分け目をつける。
  2. ビニール手袋をして、適量のペーストを取る。
  3. 前頭部から塗っていく。
  4. 頭頂部へ。片手で髪を持ち上げながら、頭皮や髪の根元に。
  5. 側頭部へ。髪を下から上へ持ちあげるように。
  6. もう一方の側頭部へ。
  7. 頭頂部に集まった髪を、前側に倒す。
  8. 後頭部へ。片側を下から上に。
  9. しだいに、反対側の後頭部へ。
  10. 塗り終わったら、髪の束をねじって、ペーストがたれるのを防ぐ。
  11. 毛先に向けて、塗っていく。
  12. 髪が長い場合は、容器に毛先をつけると楽。
  13. 塗り終わったら、頭の上で髪を丸める。
  14. ハケで、こめかみの生え際や額を塗る。
  15. ペーパータオルで生え際や額を巻くと、ペーストがたれず、生え際もよく染まる。

 

 

出典:最高のヘナを求めて

 

放置する時間

放置する時間は30分以上で、長いほどトリートメント効果も高まります。初めて使用する場合の目安は、1時間ほどと考えてください。

ヘナカラーを使用する回数を増やすよりも、1回にかける時間を長くしたほうが、色味は深まります。

ラップしてシャワーキャップをかぶったり、キャップの上からフェイスタオル等を巻くと、液だれを防ぐことができて良いでしょう。

 

洗い流し方

お湯だけで、ペーストを洗い流します。翌日からは、シャンプーしても大丈夫です。

  1. キャップをしたり、フェイスタオル等を巻いて、放置する。
  2. お湯で、充分に洗い流す。
  3. ドライヤーで、頭皮と髪を乾かす。

 

出典:最高のヘナを求めて

 

生え際などの部分染め

とくに生え際は、洗顔で他の部分よりも早めに色が落ちるため、ヘナカラーを多めに塗ったほうが良いでしょう。

生え際にかぎらず、染めたい部分だけの部分染めも、もちろんできます。

 

保管方法と期限

食品の粉類と同じように、日のあたらない涼しくて湿気のないところで保管してください。アルミ袋やタッパーなどを使って、湿気と紫外線を防ぐことが必要です。

とくに保存期限は設けられていませんが、開封後は、1年以内に使用することを目安にしたほうが良いでしょう。

ペースト状のヘナカラーも保管できますが、カビが生えたら使用しないでください。

 

頭皮の着色

頭皮は他の皮膚と比べて、汗腺や皮脂腺が非常に多いので、一時的に染まっても着色はしにくいです。

2~3回のシャンプーをするうちに薄くなり、分からなくなってしまいます。

 

肌の着色

ヘナカラーを使用するときは、顔の周りに油性クリームを塗って、ペーストが肌につかないようにしてください。

もしついた場合は、ぬるま湯などで洗い流せば、早く落ちます。

肌に着色しても、1週間ほどで自然に落ちていきますから、心配いりません。

 

服の着色

服の素材が木綿であれば、ヘナカラーが着色すると落ちません。

ヘナカラーを使用する際は、ついてもかまわないような服を着てください。

 

つめの着色

肌と違って、つめに着色した場合は、なかなか落ちません。

ヘナカラーを使用する際は、必ず手袋をしてください。

 

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白髪染めで傷んだ髪の修復方法

美髪をめざすには、カラーリング製品(白髪染めなど)やパーマの薬剤による髪のダメージを防ぐだけでなく、髪の土台となる頭皮の健康も考えなければなりません。

なぜならば、髪が潤いを保つのは、頭皮から分泌される脂分と汗が混ざってできる、皮脂膜(保護膜)によるからです。ここでは概要を掲載しますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めで傷んだパサパサの髪を修復するトリートメント効果おすすめ

 

たとえば、美容院で施術するトリートメント。一時的に潤いが増してキレイになったように感じても、すぐにパサパサの髪にもどってしまいます。

トリートメントによって人工的に脂分を与えると、頭皮は脂分の分泌をやめるため、逆に乾燥肌が進み、かえってダメージに拍車がかかるわけです。

 

同じような落とし穴が、日常のシャンプーにも存在します。洗髪を習慣化すると、頭皮の脂分が減ったことにカラダが気づき、過剰に脂分を分泌するようになるのです。

その結果、頭皮はかえって脂っぽくなり、毛穴をふさいで脱毛につながります。さらに、シャンプー剤やトリートメント剤の量が多いと、やはり頭皮に残って毛穴をふさぎ、髪に力がなくなるので注意してください。

 

白髪染めで傷んだ髪を修復するためには、次のような考え方を基本にすえて、頭皮と髪にダメージが蓄積する日常から抜け出してください。

  • カラーリング(白髪染めなど)やパーマをやめる。
  • 染髪の回数と、シャンプー剤・トリートメント剤の量を減らす。
  • 天然100%のヘナカラーで、傷ついた頭皮と髪を再生する。

 

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