白髪染め ヘナカラー

白髪染めトリートメント~ヘアカラーの成分と頭皮トラブルに要注意!

 

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2020/05/27

 

2015年12月1日にNPO法人 食品と暮らしの安全基金が発行した、「食品と暮らしの安全 2015.12 No.320」。

ヘアカラー剤によって、頭皮だけでなく深刻な皮膚障害が相次いでいることに対して、2015年10月に消費者庁が警告を発したことを取り上げています。

 

出典:食品と暮らしの安全 2015.12 表紙

 

この警告で消費者庁が問題にしているのは、医薬部外品に分類される酸化染毛剤です。多様な白髪染め製品の中で、酸化染毛剤が問題だと言われても、一般の人には分からないでしょう。

このNPO法人は、早くからヘアカラー剤の危険性を警告しており、2001年には北里研究所と共同して、成分の調査をしています。その結果、すべてのヘアカラー剤に、乳がん細胞を増殖させ、環境ホルモン作用があることを確認したそうです。

 

消費者庁による警告の内容には、昔から指摘されてきたヘアカラー剤の危険性に対して、ヘアカラー業界が真摯な対応をしてこなかった点も含まれています。

NPO法人が推奨するのは、安全な天然染料の「ヘナカラー(ヘナ白髪染め)」ですが、「ヘナ」と名がつけば安全といえるのか。さらに、ヘアカラー以外のヘアマニキュア、カラートリートメントなど、各種の商品はどうなのでしょうか。

 

「白髪染めの成分」という視点から、利用者が意識するべきリスクに焦点をあててみます。

 

白髪染めトリートメント~ヘアカラーの成分と頭皮トラブル

白髪染め(ヘアカラー、カラートリートメントなど)の商品は多彩なので、まず最初に全体を概観してから、具体的なリスク成分と頭皮トラブルの実態を掘りさげていきます。

かなり深いレベルまで掲載していますので、必要に応じて、基礎知識をまとめた記事を参考にしながら、読み進めてください。

 

白髪染めの基礎知識を整理したのが、以下の記事です。
⇒ 白髪染めトリートメント~自宅で染める市販タイプと美容院の比較結果

 

さまざまな商品

白髪染め商品の全体を眺めてみると、髪を染める成分によって、分類されていることが分かります。商品を見る際には、商品名ではなく、商品に含まれる成分に注意してください。

例えば、かりに「とても安全なヘアカラー!」という名の商品が登場しても、キャッチフレーズだけで安心しないでいただきたいのです。

 

日本ヘアカラー工業会(JHCIA)では、商品を以下のように分類しています。

 

出典:日本ヘアカラー工業会(JHCIA)ホームページ

 

日本ヘアカラー協会(JHCA)編集の「新ヘアカラー入門」では、商品を以下のように分類しています。

 

出典:新ヘアカラー入門 8ページ

 

危険な成分とは

冒頭で紹介した消費者庁の警告とは、以下のようなものです。この続きとして、かなり残酷な画像が掲載されていますが、当サイトとしてはここまでの引用とします。

 

出典:消費者庁(赤字は当サイトによる)

 

具体的に指摘されている成分とは、パラフェニレンジアミンパラアミノフェノールメタアミノフェノールの3つです。これらの成分の毒性は、別の角度から調べてみると、以下のように表現されています。

 

【パラフェニレンジアミン】

 

【パラアミノフェノール】

 

【メタアミノフェノール】
以上3つの出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト
(赤の下線は当サイトによる)

 

頭皮トラブルとは

2009年3月3日に日本毛髪科学協会が発行した、「新ヘア・サイエンス」。監修は、日本毛髪科学協会 理事長の本田光芳さんです。

この図書による分類では、全体の総称を「ヘアカラー」、酸化染毛剤による製品としては、「ヘアカラー」のかわりに「ヘアダイ」と呼んでいます。少し前というだけで、分類方法もかなり異なることが分かります。

 

出典:新ヘア・サイエンス 表紙

 

出典:新ヘア・サイエンス 210ページ

 

当記事では説明上、この図書で使われている「ヘアダイ」という言葉を、「ヘアカラー」に置き換えます。白髪染め(ヘアカラー)で使用される酸化染毛剤のリスクは、2つあるそうです。

 

1つ目のリスクは、1剤と2剤に含まれる化合物によって、頭皮などの接触皮膚炎を起こしやすいこと。

2つ目のリスクは、2剤に含まれる化合物によって、メラニンだけでなく、頭髪の成分を分解する作用もあること。

つまり、白髪染めは、皮膚(頭皮や顔)と頭髪の両方を傷めることになるのです。

出典:新ヘア・サイエンス 212~219ページ

 

【皮膚(頭皮や顔)の障害】

白髪染め(ヘアカラー)による、頭皮などの接触皮膚炎には、2通りあります。1つ目は、1剤に含まれるアルカリ剤と、2剤に含まれる過酸化水素による、一次刺激性皮膚炎と呼ばれるもの。2つ目は、1剤の主成分である色素原料による、アレルギー性皮膚炎と呼ばれるものです。

一次刺激性の場合は、アルカリ剤や過酸化水素の濃度を低くしたり、頭皮や顔の皮膚をすぐ洗い流してきれいにふき取ることで、かなり防止することができるといいます。

 

しかし、アレルギー性の場合は、皮膚(頭皮や顔)につく量とは関係なく、アレルギー反応が成立してしまえば、洗い流したとしても炎症は起きてしまいます。使用前にパッチテストを行なう目的は、アレルギー性皮膚炎を確認することです。

頭皮や顔について、一次刺激性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎の比較を、以下に掲載します。

 

出典:新ヘア・サイエンス 218ページ

 

白髪染めによる皮膚炎の対処法について、詳しくは「白髪染めの皮膚アレルギー対処法とカラートリートメントの成分チェック」も合わせてご覧ください。

 

【頭髪の損傷】

2剤に含まれる過酸化水素から生じる酸素は、メラニン色素を分解脱色するほどの力をもっていますから、頭髪の成分であるタンパク質(ケラチン)も損傷します。

明るい色調に染めるほど、強く脱色しなければならないので、過酸化水素の濃度が濃く、施術時間も長くなるため、損傷は大きいです。

 

頭髪は、一度損傷してしまうと修復できないため、注意が必要となります。すでにパーマやヘアカラーを何回も受けている場合には、それなりに損傷しているので、無理をしないようにしてください。

以下は、ヘアカラーによる頭髪の損傷状況を、撮影したものです。

 

出典:新ヘア・サイエンス 38ページ

 

傷んだ髪を、どうやって修復すれば良いのか。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
白髪染めで傷んだパサパサの髪を修復するトリートメント効果おすすめ

 

【ヘナカラーについて】

ナチュラルのヘナカラーで事故が起きた事例を聞かないので、安全性の高い色素だろうと記述されています。ヘナの色素は赤橙色で、黒くは染まりません。

「ブラックヘナ」という製品で黒く染まった、ということから製品を調べたところ、ヘアカラーと同じ成分が配合されていたそうです。

くれぐれも、成分という視点を忘れないようにしてください。ヘナカラーを使用するのであれば、ナチュラルヘナ100%を選ぶようにしましょう。

 

ヘナカラー(ヘナ白髪染め)の全体像については、以下の記事を参考にしてください。
ヘナカラー(ヘナ白髪染め)~数千年の時を重ね脈々と受け継がれる伝説

 

白髪染めトリートメント~商品ごとの成分と頭皮トラブル

白髪染め(ヘアカラー、カラートリートメントなど)の商品は多彩なので、全般的な注意点だけでは、実用の役には立ちません。具体的な商品ごとに、どのような成分がどのような頭皮トラブルの原因となるのか、さらに深く掘りさげてみましょう。

 

広がるラインナップ

2015年12月19日に彩流社が発行した、「なっとく!の ヘアカラー&ヘナ&美容室選び」(以下、「同書」と呼ぶ)。著者は美容師の森田要さんと、編集家の山中登志子さんです。

この図書に沿って、具体的な商品ごとに、成分を見ていきます。第一線の美容師さんだけに、説得力は絶大です。

 

出典:同書 表紙

 

同書では、日本ヘアカラー協会(JHCA)をベースにして、商品を次のように分類しています。美容院の現場には、多彩な商品があふれていることが分かります。

 

出典:同書 31ページ

 

同書では具体例として、業界トップの「ホーユー」を取り上げています。日本のヘアカラーの歴史は、業界トップのホーユーとともにあると言っても、過言ではないからです。

 

出典:ホーユー 沿革

 

1909年(明治42年)「二羽からす」
パラフェニレンジアミンを水に溶かした液をびん詰めしたもので、染毛時間は6~7時間です。

1916年(大正5年)「三羽からす」
1液と2液を混合した染毛剤の原型で、染毛時間が20分~30分短縮されました。

1921年(大正10年)白髪染め「元禄」
染毛時間が2~3時間に。

1957年(昭和32年)粉末の白髪染め「ビゲン」
「美人元禄」から「美元」を取ってカタカナに。粉末状の酸化染料、糊料、酸化剤を水で溶くだけという画期的な白髪染め。

1971年(昭和46年)「ビゲンヘアカラー」
昭和40年代の「おしゃれ染め」を意識。シャンプー式。

1986年(昭和61年)男性用白髪染め「メンズビゲン」
男性をターゲットにした商品がヒット。

などを経て、1990年代以降の若者を中心にした茶髪ブームが到来。1997年(平成9年)には、ミドルエイジ向け白髪染めの「シエロ(CIELO)」を発売。市販商品以外に、理美容室向けの商品も製造・販売しています。

 

日本における、白髪染めの発明の歴史について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めの発明と生活文化史~明治から昭和と課題は頭皮の刺激だった

 

商品ごとの成分と頭皮トラブル

ホーユーの白髪染めは、若い人向けに「ビゲン(Bigen)」(男性用は「メンズビゲン」)、ミドルエイジ向けは藤原紀香でお馴染みの「CIELO」シリーズなど、年代別にブランド化しています。以下は、「シエロ」シリーズを、染料別に整理したものです。

 

酸化染毛剤(医薬部外品)
ムースカラー、ヘアカラーEXクリーム、ヘアカラーEXミルキー

 

酸性染毛料(化粧品)
ヘアマニキュア、カラートリートメント

 

一時着色料(化粧品)
コーミングカバー

 

出典:ケンコーコム
(赤下線は当サイトによる)

 

「シエロ ムースカラー」の成分として、1剤にはパラアミノフェノールパラフェニレンジアミン、2剤では過酸化水素水が使用されています。

 

水と油を混ぜあわせたり、化粧品の成分を肌に浸透させるのが、合成界面活性剤(POE、POP、POEオレイルエーテル、POEセチルエーテル、POEラウリルエーテル、ベヘントリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド、POE還元ラノリン、POEセチルエーテル、ステアルトリモニウムクロリド)。

頭皮表面の脂質を流失し、頭皮のバリア機能を壊す成分です。

 

やわらかくべたつかない、腐らない、つけ心地が良いために使われるのは、合成ポリマー(PEG-8、アクリルアミド、アクリル酸、塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液)。

タール色素(赤106、黄203)は、合成着色料の石油タールから合成された色素で、発がん性や催奇形性などが確認されているそうです。 

 

出典:ケンコーコム 
(赤下線は当サイトによる) 

 

「ビゲン スピーディカラークリーム」も、1剤にはパラアミノフェノールパラフェニレンジアミンメタアミノフェノール、2剤では過酸化水素水が使用されています。

要するに、酸化染毛剤による白髪染めは、髪を染めるためのメカニズムと成分だけを見ると、発明された最初の製品から変わりがないということです。

 

出典:ケンコーコム
(赤下線は当サイトによる)

 

上は、「シエロ カラートリートメント ナチュラルブラウン」の成分です。

髪を染める色素成分としては、化粧品に分類されるHC染料(HC黄4、HC青2)と塩基性染料(塩基性青75、塩基性茶16)が使用されています。ともにアレルギーを起こす可能性があります。

 

次に、ホーユー以外で、「利尻ヘアカラートリートメント」(サスティ)を見てみます。

白髪用ヘアマニキュアブランドシェアで、4年連続1位(2011年~2014年)、2011年には年間楽天オリジナルコスメ大賞で、総合の部1位を受賞した商品です。

 

出典:サスティ
(赤下線は当サイトによる)

 

商品の特徴は、「やっぱり無添加だから!! パラベン不使用、ノンシリコーン、ジアミン系色素不使用、無香料、無鉱物油、タール系色素(法定色素)不使用、酸化剤不使用、4級アミン不使用、アレルギーテスト・パッチテスト済」。

「白髪用 利尻ヘアカラートリートメント」は、実に64成分で製造されています。

 

「髪には昆布」のイメージもあり、昆布の成分で染まるように思えてしまいますが、髪を染める色素成分はHC染料(HC赤2、HC青2、HC黄4)と塩基性染料(塩基性青99、塩基性茶16、塩基性赤76、塩基性黄57)。

「4 - ヒドロキシプロピルアミノ - 3 - ニトロフェノール」は、「HC赤2」の成分表示名です。

 

酸性染料(タール色素)、塩基性染料、HC染料の真相を、さらに掘りさげました。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
白髪染めトリートメントは低刺激で傷まない?その驚くべき真相とは!

 

「自然素材を贅沢に配合」「無添加」だから安全と思いがちですが、「パラベン、香料、鉱物油」が無添加という意味であって、防腐剤としては、エタノールが使用されているようです。

さらに、合成界面活性剤(ステアラミドプロピルジメチルアミン、加水分解シルク、加水分解ケラチン、ステアリン酸、PEG - 40水添ヒマシ油、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、加水分解コンキオリン、ポリクオタニウム – 10)も含まれています。

 

2012年には、「これまでの白髪染めのように、面倒なパッチテストもいらなければ、1剤と2剤の混ぜあわせも不要」「カラー全成分が無添加だから、素手で問題なく白髪染めをすることができます」と強調されていましたが、現在は以下のように表示されていました(一生懸命さがすと見つかります)。

 

出典:サスティ

 

生薬やハーブは配合されていますが、白髪を染めるのはHC染料と塩基性染料で、合成界面活性剤も含まれている、という点にも目を向けたいものです。

 

無添加やオーガニックの意義については、「白髪染めトリートメントに無添加オーガニックは何の価値もありません!」で掘りさげました。

「天然成分配合」と「天然100%ナチュラル染料」は、全く異なります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
白髪染めトリートメントの安全は天然100%ナチュラル染料がポイント

 

白髪染めトリートメント~成分と頭皮トラブルまとめ

第一線の美容師さんが解説する、美容室の施術によるダメージは、白髪染め(ヘアカラー、カラートリートメントなど)成分による頭皮トラブルだけではありません。

 

 

カラーリングのあとシャンプーで洗い流し、ドライヤーでセットしてから、すすめられるのはトリートメント

トリートメントはコーティング剤が入っているので、サラサラした感じにはなりますが、元の髪がパーマやカラーリングで、ボロボロになっているわけです。おまけに、ヘアアイロンでも髪は傷ついてしまいます。

 

髪を染めると、しばらくして根元の部分が気になるため、カラーリングをくり返し、頻度が増せば髪も傷むことに。髪が傷むにつれて、ヘアケア商品も増え続けます。

髪を壊しては、さまざまな技術で補修することが、繰り返されているのです。壊れた髪は補修しても再生することはなく、傷んだ部分をカットするしかないそうです。

 

また、カラーリングを続けると、白髪や脱毛も増えるといいます。ところが、原因は薬剤の問題ではなく、加齢によるものだと思っているかたが多い、という指摘です。

髪のトラブル(薄毛、白髪、フケ、枝毛、切れ毛、抜け毛、細毛、脂性、湿疹、ダメージヘアなど)が、「薬害」によるものではないかと疑ってみることを、強く推奨しています。

 

最後に、白髪染め(ヘアカラー、カラートリートメントなど)の成分と頭皮トラブルに関する要点は、以下の3点です。

 

特に、ヘアカラーの成分には注意が必要です。1剤のアルカリ剤と、2剤の過酸化水素によって、一次刺激性皮膚炎(頭皮や顔)を、1剤の主成分である色素原料によって、アレルギー性皮膚炎(頭皮や顔)を引き起こす可能性があります。

2剤の過酸化水素から生じる酸素は、メラニン色素のみでなく、頭髪の成分であるタンパク質(ケラチン)も損傷します。

ヘアマニキュアやカラートリートメントも、髪を染める成分は酸性染料、塩基性染料、HC染料です。ヘアカラーだけでなく、必ずパッチテストを行なってください。さらに、合成界面活性剤や合成ポリマーも含まれている場合がありますから、注意が必要です。

白髪染めの商品を選ぶ際は、商品名や宣伝だけでなく、商品に含まれている成分を確認したえうで、適切な判断と使用方法を守るようにしてください。

 

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