白髪の原因

20代で白髪の多い原因は何ですか?答えは医学書に出ています!

2018/09/09

 

白髪について調べていると、面白いことに気がつきます。たとえば次のような情報;

いかなる特殊な食品や、ビタミンやプロテインなどの栄養サプリメントも、白髪の発生を防いだり遅らせるための有効な手段とはなりえないにもかかわらず、多くの白髪を防ぐための商品が長年にわたり販売されている。(出展: Wikipedia「ヒトの髪の色」)

Wikipediaを見るかぎり、世間に広がる「白髪の対策には栄養補給」を完全に否定するだけでなく、ストレス、頭皮の血流、睡眠や運動などにいたっては記述すらないですね。

といっても、世間とWikipediaのどちらを信じるのか、問いかけようとしているわけではありません。

情報に接する時には、根拠を気にしましょうと言いたいのです。かりに引用元が示されていたとしても、引用元に根拠がなければ結局は正体不明の情報となってしまうからです。

ここから先は、医学をはじめとする毛髪科学に関する書籍をもとにして記述します。情報の根拠を確認しながら、読み進めてください。

20代で白髪が多いと若白髪?

まずは、日本人の平均的な白髪の年齢と20代を比べてみましょう。

板見智 大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授と宮地良樹 京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授が監修された、「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」。この本には、次のような意味の記述があります。

「一般的に白髪は30代後半から50代にかけて始まり、年齢を重ねると増えていきます。個人差が大きいので、20代~30代前半に生える場合も多いです。それよりも若い10代~20代までの間に白髪が目立つ場合を、若白髪と呼びます。平均的な姿としては、50歳までに約50%の人は、毛髪の約50%以上を白髪が占めるようです。」

次は、(社団法人)日本毛髪科学協会 元理事 八木原陽一先生による、「毛髪の科学と診断」。60年以上にわたって毛髪研究に取り組んできた著者は、「毛髪診断士(日本毛髪科学協会)」の生みの親でもあります。この本には、次のような意味の記述があります。

「白髪の生え始めるのは35歳頃で、50歳頃に毛髪の10%、55歳頃に半分が白髪になるというのが日本人の平均的な姿です。男性よりも女性のほうがやや早く、他の人種はもっと早い(35歳で約10%の白髪)ようです。」

2つをまとめた日本人の平均的な姿は、「白髪は30代の後半から生え始め、50歳頃に毛髪の10%~50%、55歳頃に半分ほどになる。10代~20代で白髪が目立つようであれば、若白髪。」というものです。

20代の白髪~原因は?

「20代で白髪が多いと若白髪」ということのようですが、そもそも白髪にはどのようなタイプがあるのでしょうか。基本にもどるときは常に「南山堂 医学大辞典」。医学・医療の業界から信頼を得ている、総合的な医学専門辞典です。

出典:南山堂 医学大辞典 表紙

この辞典で解説されている「白毛(はくもう、医学用語で白髪のこと)」は、以下の通り。

序文で記述されている「一般的な白髪」、先天性白毛と書かれている「生まれつきの白髪」、後天性限局性白毛と書かれている「後天性の部分的な白髪(病気によるもの)」「若白髪」の4つに分類されることが分かります。

「生まれつきの白髪」と「病気による白髪」は今回のテーマでは対象外としますので、詳しくは以下の参考記事をご覧になってください。特に病気の可能性があると思われる場合は、すみやかに診療を受けていただきたいです。
(「生まれつきの白髪」の参考記事はこちら
  ⇒ 白髪の原因と遺伝の解明!医学大辞典「先天性白毛」の全文を解読する
(「病気による白髪」の参考記事はこちら
  ⇒ 白髪の原因と対策(後天性)まとめ~病院の何科で治療すれば治るのか!

 

振り出しにもどると、一般的な白髪には「加齢(老化)とともに白髪は増える傾向がある。」と記述し、若白髪には「病気でない若白髪は優性遺伝性である。」と断定しています。

序文は全体にかかるコメントですから、若白髪も一般的な白髪と同様に、加齢(老化)とともに増す可能性はあることを意味します。しかも、これまでに「原因」という言葉は一度も登場しません

加齢(老化)は白髪の原因ではなくて、「引き金」の1つにすぎませんから、加齢で「引き金」を引かれない人は白髪にはならないということです。

要するに、若白髪も原因は一般的な白髪と同じで、優性遺伝性によって一般よりも早く白髪が現れるだけ。

やっと、大事な部分にたどりつきました。次の2点が分かれば、全貌が明らかになるはずですね。

☑ 若白髪に固有の、「優性遺伝性」とは何なのか?

☑ 若白髪を含めて白髪全般に共通の、「白髪の原因」とは何なのか?

 

順に追いかけていきましょう。

20代の白髪~優性遺伝性とは?

若白髪(20代の白髪)の優性遺伝性とは、何を意味するのでしょうか。

人の特性は、「1対の遺伝子」(父親から1つ、母親から1つ)による情報で決定されます。1対のうち1つでもあれば特性が現れるものを優性、2つそろって現れるのが劣性。若白髪は優性なので、1つでも若白髪の遺伝子があれば、若白髪になるということです。

たとえば若白髪の遺伝子を「若」、そうでないものを「黒」とします。この場合、「若若」「若黒」は若白髪で、「黒黒」のみ若白髪ではありません。ただし、「黒黒」でも一般的な白髪の特性(加齢にともなって増える)を持つ可能性はあります。

父親と母親がともに「若若」であれば、子供は「若若」のみ。若白髪の確率は100%

父親「若若」 母親「若黒」の時、子供は「若若」か「若黒」。やはり若白髪の確率は100%

父親「若若」 母親「黒黒」だと、子供は「若黒」のみ。この場合も、若白髪の確率は100%

父親「若黒」 母親「黒黒」で、子供は「若黒」と「黒黒」が半々。つまり、50%の確率で若白髪になるということです。

両親ともに「若黒」の場合は、子供の遺伝子は「若若」「若黒」「黒黒」の3パターン。「若若」で若白髪になる確率が25%「若黒」で若白髪になる確率が50%、若白髪にならない確率(「黒黒」)は25%。

若白髪は、優性遺伝のルールにもとづき、ルールどおりの確率で現れます。詳しくは、以下の3回シリーズをご覧ください。
白髪の原因は遺伝?若い男性(10代で若白髪の男)の研究結果とは!

誤解だらけの原因と対策【20代の白髪】

一般的な白髪も若白髪(20代の白髪)も、原因は同じで、若白髪は優性遺伝性によって現れるのが早いだけでした。ついに根本的な部分までやってきましたが、冒頭で紹介した一般的な通説に誤解が生まれるのも、根本部分で歯車がかみ合わなかったからといえます。

白髪の本当の原因を知れば、一般的な白髪対策が原因の解消とは無縁であることに気づいてしまうことでしょう。あえて冒頭の疑問に答えるならば、「通説よりもWikipediaのほうが確かなようだ」ということです。

本当の原因

20代にかぎらず髪や肌の色を決める決定的な要素は、色素(黒色のユーメラニンと黄色のフェオメラニンの2種類)。黒髪には黒色の色素(ユーメラニン)が含まれ、白髪には含まれません。黒色の色素(ユーメラニン)は、色素細胞(メラノサイトともいいます)と呼ばれる細胞で作られます。

色素細胞(メラノサイト)の中にある、メラノソームという小器官のなかで、黒色の色素(ユーメラニン)が作り出され貯蔵されます。

メラノソームの中では、チロシナーゼという酵素が作用して、チロシンというたんぱく質が色素(黒色のユーメラニンか黄色のフェオメラニン)へと変化していきます。

黒色の色素を作るのは色素細胞(メラノサイト)の中にあるメラノソームで、毛髪を作るのは毛母細胞。毛髪を作る細胞と、毛髪の色に影響を与える細胞が、まったく別物なのです。

毛髪を作る細胞がどんなに元気でも、黒色の色素が到着しなければ毛髪は黒くなりません。ここにこそ、誤解が生まれる理由があります。一般的な通説は、本当に黒色の色素が毛髪に届くための対策となっているのでしょうか?

 

黒色の色素が毛髪に届かないとすれば、考えられるのは4ヶ所。そのうち、どこかが機能しなければ白髪になります。

出展:FRAGRANCE JOURNAL 2014年3月 30ページ
(赤字部分は当サイトによる)

【白髪の原因1】
色素を作り出す細胞である色素細胞(メラノサイト)が、減るかなくなってしまった。

【白髪の原因2】
色素細胞(メラノサイト)は存在しても、メラノソームが減るかなくなってしまった。人種によって色素細胞(メラノサイト)の数や分布は変わりませんが、メラノソームの数が異なることは分かっています。

【白髪の原因3】
メラノソームの中で、黒色の色素(ユーメラニン)が作られなくなってしまった。具体的には材料のチロシン不足か、酵素のチロシナーゼ不足。白蛇や白虎など白皮症の原因がチロシナーゼであることは分かっています。

【白髪の原因4】
黒色の色素(ユーメラニン)は正常に作られたが、毛母細胞に運び込むための輸送システムが機能しなくなった。

 

「世界一わかりやすい【毛髪の科学】全4回シリーズ」は、簡単な内容から始まって、次第に真相を掘りさげていくものです。興味があるかたは、参考にしてみてください。以下のリンクは、全4回シリーズの第1回目です。
⇒ 白髪の原因とメカニズム解明!メラニン色素で黒髪に見える理由とは?

食生活(栄養)

20代にかぎらず、白髪の改善方法でたびたび登場する食生活。黒色の色素は、毛髪に届くようになるのでしょうか。

はじめに紹介した「毛髪の科学と診断」には、栄養分析から判明した食材(チロシンやチロシナーゼを多く含む)が掲載されています。具体的には、チロシンを多く含む大豆・鯵・鶏卵・玄米・白米など、チロシナーゼを多く含む甲殻類(エビ・カニなど)・貝類・ココアなどです。

ここで注意しなければならないのは、これらの食材が有効な可能性があるとしても、「白髪の原因3(チロシンとチロシナーゼ)」に限定されるということ。白髪になった人の原因が「白髪の原因1・2・4」ならば、何の効果を見込むこともできません。

かんたんに整理しましたが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
⇒ 白髪の原因と予防や改善?食生活(食事/食べ物)で色素を増やす方法!

ストレス

ストレスも、20代にかぎらず白髪テーマで頻繁に登場します。そもそも通説でいう「ストレス」とは、何のことなのでしょうか。

ストレスには、物理的ストレス(寒冷、騒音、紫外線、放射線など)、化学的ストレス(酸素、薬物など)、生物的ストレス(炎症、感染など)、心理的ストレス(怒り、不安など)があることを頭に入れておく必要があるでしょう(出典:Wikipedia「ストレス」)。

科学論文などの実験では、放射線や紫外線などの物理的ストレス、薬物などの化学的ストレスが多く使用されます。これらは日常生活における心理的ストレスとはまったく異なるものです。このあたりでボタンをかけ違ってしまうと、話はあらぬ方向へと進んでしまうのです。

出典:南山堂 医学大辞典 1954ページ

医学大辞典をよく見ると、「精神的ショック」という言葉が出てきます。

内容をよく読めば、もはや重篤な病です。命の心配をしなければならないほどの精神的なショックを受け続ければ、細胞間の連携も途絶えてしまうのでしょう。日常的なストレスとは、まったく次元が異なる世界といえます。

かんたんに整理しましたが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
⇒ 白髪の原因とストレスの関係?なぜ増える医学からメカニズムを解明!

血行血流

頭皮マッサージによる血行血流の改善も、20代のみならず白髪対策として取り上げられるテーマといえます。血行血流が良くなれば、黒色の色素は毛髪に届くようになるのでしょうか。

そもそも頭皮マッサージには、大きな矛盾が潜んでいます。マッサージで血流アップといいながら、リラックス効果により心拍数および血流はダウン。いったい、どっちなんだという感じです。

出典:HIGUCHI式ヘッドスパ 表紙

頭皮マッサージの効果をシリーズで検証した結果、当サイトとしては次のような結論を得ました。

【短期的な効果】
頭皮マッサージによって、頭皮まわりの血流量は一時的に上がる。しかしながら、時間が経過するとともに血流量は下がっていく。数ヶ月以上の長期にわたる影響を確認した臨床データは、存在しない。

【長期的な効果】
頭皮マッサージマシンによる刺激を24週間おこない、頭髪の本数・伸びの速さ・太さを計測した実験データが存在する。その結果、本数と速さは変わらなかったが、太さが増していた。驚くべきことに、マッサージという力学的な刺激によって、毛周期に関連する遺伝子数の変化が認められたという。

【ヘッドスパの効果】
頭皮環境の改善よりも、「深いリラックス状態」と「デトックス」の組み合わせによって、老廃物が排泄され体全体の浄化が進む効果が大きい。

以上かんたんに整理しましたが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
⇒ 白髪の原因と予防や対策まとめ~頭皮マッサージの効果がついに判明!

まとめ

☑ 10代から20代までの間に白髪の目立つ場合を、若白髪と呼ぶ。

☑ 若白髪は、優性遺伝性。

☑ 白髪の原因は、黒色の色素(ユーメラニン)が毛髪に届かなくなること。

☑ 食生活(栄養)、ストレス、頭皮の血行血流などを改善することで、黒髪が戻る臨床データは存在しない。

☑ その他、睡眠・運動・入浴・眼精疲労なども、白髪の改善と直接むすびつくデータは存在しない。

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