白髪の原因

白髪の年齢は平均いつから?女性の髪の毛は20代と40代50代で全く違う

 

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2020/05/26

 

20代から60代までの年代を経るあいだに、髪の毛というものは、どのように変化していくのでしょうか。

特に女性の髪を中心に、5つの図書をもとにして、つぎの4つの視点から整理してみます。

 

  • 白髪の年齢は、いつからが日本人の平均的な姿なのか
  • 女性の髪のダメージは、年代でどのように変化していくのか
  • 女性の髪の量は、年代でどのように変化していくのか
  • 女性の髪の質は、年代でどのように変化していくのか

 

年代によって、「髪の毛」に対する違和感がどのように変わり、その理由は髪のどのような変化によるものなのか、頭の中がスッキリするはずです。

 

白髪の年齢は平均いつから~女性と男性の違い

白髪はいつから生え始めるのか、日本人の平均的な年齢(女性と男性の違い)については、当サイトの共通語のようなものなので、最初に紹介します。

2006年6月8日に南山堂が発行した、「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」。監修は、板見智 大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授と宮地良樹 京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授です。

 

 

この図書には、次のような意味の記述があります。

 

白髪は一般的に、30代後半から50代までに始まりますが、個人差が大きく20代から30代前半に始まる場合もあります。標準的な基準としては、50歳までに約50%の人に、約50%以上の髪の毛が白髪になります。

 

2012年11月30日に薬事日報社が発行した、「毛髪の科学と診断」。著者は、八木原陽一 社団法人 日本毛髪科学協会 東京支部顧問です。この図書にあるのは、次のような意味の記述です。

 

35歳で白髪が生え始めて、50歳で髪の毛の10%が白髪になり、髪の毛の半分が白髪になるのは55歳頃、男性よりも女性のほうがやや早い、というのが平均的な日本人の姿です。

 

2つをまとめると、

 

30代の後半から白髪が生え始めて、50歳頃には髪の毛の10%から50%ほどが白髪になり、55歳頃には髪の毛の半分程度が白髪になる。男性よりも、女性のほうがやや早い。

 

以上が、日本人の平均的な姿と考えてよさそうです。

女性の髪~ダメージの変化(20代から50代60代)

加齢(20代~50代60代)とともに、女性の「髪の毛」そのものは、どのように変化していくのでしょうか。まずは、女性の「髪の毛」に関する、ダメージと違和感の調査結果です。

2014年2月にフレグランスジャーナル社が発行した、「FRAGRANCE JOURNAL 2014-2」。この専門誌に、「エイジングによる毛髪変化と意識調査」という論文が掲載されています。

著者は、株式会社ミルボン中央研究所の、谷村文優 伊藤廉 岩城顕一さん3名です。20代・30代・40代・50代・60代の各世代から、約300人の女性を対象にして「髪の毛調査」と「意識調査」を行っています。

 

出典:FRAGRANCE JOURNAL
2014-2 表紙

 

まず「髪の毛調査」で行なったのは、20代前半と30代後半の、ダメージヘアー(ヘアカラーをくり返した髪の毛)の比較。

20代前半の女性では、毛先3cm程度にダメージ現象(指を通すと毛先が絡まる)があるのに対して、30代後半では中間部から独特のダメージ現象(指を通すと中間部からゴワゴワして絡まる)が現れます。

 

加齢によるダメージ現象を見つける方法は、髪の毛中間部の毛先を指の腹で折ってみて、弾力を調べてみることです。

弾力(反発)があってすぐに戻るようであれば、若年性のダメージヘアーと言えます。いっぽう、弾力がなく、折り曲げると跡がついて戻らないようであれば、加齢によるダメージヘアーと診断できるそうです。

 

次に意識調査の結果が、下図です。年代別に、感じている違和感をまとめています。

 

出典:FRAGRANCE JOURNAL
2014-2 66ページ
(赤字は当サイトによる)

 

20代~30代の女性は、他の世代に比べて、「からまり」や「切れ毛」に関する違和感が高い傾向にあります。

30代の女性が、最も感じている違和感は、「ぱさつき」。「うねり」「弾力」「ツヤ」に関しては、年齢とともに違和感が増すようです。

 

50代以降の女性は、「ボリューム」に関する違和感が増します。

60代では、「ハリ・コシ」「ツヤ」「ボリューム」が違和感の中心となり、他の項目はあまり気にならなくなる感じでしょうか。

 

次に、年代による違いがなぜ生まれるのか、その理由を明らかにしていきます。

 

女性の髪~量の変化(20代から40代50代)

加齢(20代~40代50代)によって、女性の「髪の量」は、どのように変化するのでしょうか。

2015年11月にメディカルレビュー社が発行した、「White 2015 Vol.3 No.2」。この医学雑誌で植木理恵 順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科 科長が、加齢による女性の「髪の毛」の変化を解説しています。

 

出典:White 2015 Vol.3 No.2 表紙

 

女性の薄毛は大きく3つに分類できて、1つ目は男性型脱毛症、2つ目は休止期の「髪の毛」が増える休止期脱毛症、3つ目が加齢による脱毛症で、ほとんどの患者さんが加齢によるものだそうです。

 

出典:White 2015 Vol.3 No.2 85ページ

 

女性の場合は閉経後の脱毛症は誰にでも起こりますが、上図を見て明らかなように、特に「髪の毛」の密度が減る点と「髪の毛」が細くなるのが特徴的といえます。

休止期の割合が増えるために、「髪の毛」の密度が減るようです。

 

女性の場合は、男性が使うフィナステリドを使用してはいけないため、使える薬はミノキシジルだけであり、薬物治療がほとんど確立されていません。

そのような状況の中で植木先生は、生活習慣の改善を重視されているようです。

 

 

特に30代から40代の女性は、生活を家族に合わせる傾向が強いため、つい睡眠時間が短くなったり食事のバランスが崩れやすくなります。その点に注意するだけでも、ボリュームというよりも、触れ心地が変わってくるそうです。

そのような変化から、モチベーションが高まって、効果にもつながっていくといいます。白髪の改善よりも髪質の改善に、生活習慣は重要だということが分かりました。

 

女性の髪~質の変化(20代から40代50代)

最後は、加齢(20代~40代50代)による、女性の「髪の中身」の変化。感覚的に、「フワフワ」「内部がスカスカ」と感じている人が多いため、内部構造の変化を調べてみたという論文があります。

2015年9月に、日本放射光学会が発行した「放射光 Sept. 2015 Vol.28 No.5」。「放射光イメージングを用いた加齢と共に変化する毛髪内構造評価」という論文で、著者は株式会社ミルボン中央研究所の、渡邊絋介 鈴田和之 伊藤廉さん、兵庫県立大学大学院物質理学研究科 高野秀和さんです。

 

出典:放射光 Sept. 2015
Vol.28 No.5 表紙

 

下図左の白いグラフは、日本人女性の「髪の毛」の根元部分の密度(g/cm3)、斜線のグラフは根元から30cmだけ毛先方向の部分の密度(g/cm3)を示したものです。

「髪の毛」が伸びる速さは1日に0.4mmですから、2年間で約30cm(0.4mm×730日=292mm)。つまり、根元から30cm毛先方向の「髪の毛」には、2年間分のダメージが蓄積していることになります。

 

出典:放射光 Sept. 2015
Vol.28 No.5 211ページ

 

グラフを見て明らかなように、どの年代においても毛先方向の「髪の毛」は、根元部分よりも密度が小さいです。30代・40代以降の女性では、年齢とともに密度が小さくなっていくことも分かります。

さらによく見ると、根元部分の密度の減り方に比べて、毛先方向の「髪の毛」は、密度の減り方が増していくようです。

 

次に調べているのが、年齢とともに密度が減る理由です。2-メルカプトエタノールという溶液に50度で1晩つけておくと、年齢とともに飛躍的にタンパク質が流出します(上図右、縦軸がタンパク質の流出量)。

これは年齢とともに、「髪の毛」がダメージを受けやすくなっていくことを意味しているわけです。

 

 

さらにX線CT装置で「髪の毛」の内部を観察し、年齢とともに、「髪の毛」内部の「すきま」が増える傾向のあることも確認しています。

研究者たちは、この現象を「毛粗しょう」と呼んでいるそうです。ダメージを受けやすい「髪の毛」に変化することに加えて、白髪染めなどの美容処理が増すからだろう、と述べられていました。

 

女性の「髪の毛」の年齢による変化~まとめ

以上、女性の髪が年齢によってどのように変化していくのか、追いかけてきました。まとめると、次のようになります。

 

日本人女性は、「髪の毛」に対する違和感の内容が、年齢によって変化していく。具体的には、

  • 加齢とともに、「うねり」「弾力」「ツヤ」の違和感が増していく。
  • 50代以降になると、「ボリューム」に関する違和感が増す。
  • 60代では、「ハリ・コシ」「ツヤ」「ボリューム」が違和感の中心となる。

 

以上のように感じる理由は、年齢による「髪の毛」の変化。具体的には、

  • 30代40代以降では、密度(本/cm2、g/cm3)が減っていく。
  • 特に閉経後は、「髪の毛」が細くなる。
  • 「髪の毛」が、ダメージを受けやすい素材に変化していく。
  • 「髪の毛」内部の、「すきま」が増えていく。

これらの変化から「ハリ・コシ」を失って、「髪の毛」が「フワフワ」「スカスカ」した感じになっていきます。さらに白髪染めなどの処理が加わって、「毛粗しょう」の状態になっていくと考えられます。

 

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