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白髪の原因と頭皮マッサージ~髪の毛と血行血流と年齢に関係あるの?

 

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2020/05/26

 

頭皮マッサージを追いかけてきた結論からいうと、頭皮マッサージの効果は血行や血流でなくて、遺伝子ではないかというのが、当サイトの見解です。

これまでの記事をご覧になっていないかたには、意味不明の怪文書と感じるかもしれません。次の記事では頭皮マッサージの総集編を掲載するつもりですが、その前に1つだけ整理しておきたい事があります。

 

そもそも、頭皮マッサージに関する商品が、これほど氾濫しているにもかかわらず、効果の根拠となる研究が、あまりにも少ないといえます。少なくとも、表舞台に登場する研究資料は、ほとんど見当たりません。

しかしながら、研究資料が皆無というわけでもありません。では、数少ない研究資料に、いったい何が書かれているのか、総集編の前に確かめておきたいのです。

 

果たして、「頭皮マッサージ」と「髪の毛の密度、髪の毛の太さ」と「頭皮の状態(血行や血流)」と「年齢」の間には、根拠のある因果関係が、存在するのでしょうか。

 

「髪の毛の密度や太さ」と「年齢」の関係

2013年9月27日に日本化粧品技術者会が発行した、「健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術」。著者は、花王株式会社 ヘアビューティ研究所の曽我 元さんです。

この冊子に、「頭皮と髪の加齢変化とケア技術(マッサージの効果など)」という題名の研究論文が掲載されています。

 

出典:健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術 表紙

 

少なくとも、この論文が投稿された2013年の時点では、頭皮そのものの性質や機能に関する研究論文は、非常に少ない状況でした。

著者はその理由を、頭皮は髪の毛におおわれて見えないので、普段しわや色合いが気になったりしないからだろうと推察しています。基礎研究の多くは、見た目や感触が気になる部分(肌や髪の毛など)が中心になるのは、自然なことです。

 

髪の毛が育つ場は頭皮だし、その頭皮をケアする方法の1つが頭皮の地肌マッサージなので、地肌マッサージと髪の毛の成長との関係性を明らかにしておきたい、というのが研究の主旨だそうです。

まず、頭皮そのものと年齢との関係を調査しています。人数は書かれていませんが、東京近郊に在住の20代から70代の日本人女性を対象にして「頭皮(表皮+真皮)の厚さ」を計測しています。皮膚・眼科用の、超音波Bモード画像化装置を使ったそうです。

 

(出典:健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術
58ページ)

 

結果のグラフ(上図)を見ると、20代から50代にかけて、だんだん個人間のバラツキが大きくなっていき、50代から70代にかけて、急に頭皮が薄くなっていく様子が分かります。

次に調査したのは、「年齢」と「髪の毛の密度(本/cm2)」および「髪の毛の太さ(μm)」との関係です。

 

(出典:健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術
58ページ)

 

結果のグラフ(上図)を見ると、確かに年齢とともに「髪の毛の密度」も「髪の毛の太さ」も減少していることは分かりますが、先ほど(頭皮の厚さ)の変化とは、少し様子が異なるようです。

特に「髪の太さ」は、20代で年齢とともに太くなりますが、40代以降からだんだん細くなっていきます。「髪の太さ」のピークが30代半ばという感じなのは、「白髪の生え始める時期」と一致しているため、興味深いところです。

 

さらに、「皮下組織の厚さも含めた頭皮の厚み」と「髪の毛の密度」および「髪の毛の太さ」との関係を調査しています。

 

(出典:健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術
59ページ)

 

結果のグラフ(上図)を見ると、頭皮に厚みがあるほど「髪の毛の密度」も「髪の毛の太さ」も高い数値を示すようです。

 

「髪の毛の太さ」と「血行・血流」と「年齢」の関係

さらに、新たに10歳から70歳の日本人女性(健常)132人を募集して、「頭皮の血流量」と「髪の毛の太さ」との関係を調査しています。血流の量は、「レーザードップラー血流画像化装置」で計測したそうです。

 

(出典:健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術
60ページ)

 

結果のグラフ(上図)を見ると、若年層(10歳から29歳)と高齢層(50歳から70歳)は血行・血流が多いほど髪の毛も太いのに対して、中年層(30歳から49歳)については関係性がないように見えます。

グラフでは示されていませんが、「頭皮の血流量」と「年齢」との間には、関係性が認められなかったと記述されています。

 

これらの調査から著者は、「頭皮の血流量」は、髪の毛が要求する血流の量によって決定するのではないか、と結論づけています。

当サイトとしては、ここで引き上げるわけにはいきません。ここまでの内容を、いったん整理してみましょう。

 

【1】 50代から急に、「頭皮の厚さ」が薄くなっていく。

【2】 「髪の毛の密度(本/cm2)」は、加齢とともに減少していく。

【3】 「髪の毛の太さ」は、30代半ばまでは太くなっていき、その後は加齢とともに細くなっていく。

【4】 「頭皮の厚さ」が厚いほど、「髪の毛の密度(本/cm2)」は多く、「髪の太さ」は太い。

【5】 若年層(10歳から29歳)と高齢層(50歳から70歳)は、「血流の量」が多いほど「髪の毛の太さ」は太い。

【6】 中年層(30歳から49歳)は、「血流の量」と「髪の毛の太さ」は関係ない。

【7】 頭皮の「血流の量」と「年齢」は、関係ない。

 

「髪の毛の密度」と「髪の毛の太さ」と「年齢」との関係(上の【2】と【3】)については、すでに掲載した記事の内容とも一致しているので正しいと考えます。

「頭皮の厚さ」が厚いほど、「髪の毛の密度」は多く、「髪の毛の太さ」は太い(上の【4】)というのも、50代から急に「頭皮の厚さ」が薄くなっていく(上の【1】)事と合わせれば、すでに掲載した記事の内容と一致するので納得感があります。

 

たとえば、女性の髪質の変化をまとめた、以下の記事を参考にしてください。
⇒ 白髪の年齢は平均いつから?女性の髪の毛は20代と40代50代で全く違う

 

「血流の量」と「年齢」は、関係ありません(上の【7】)。

残る部分(上の【5】と【6】)を、どのように理解するのか、難問といえます。

どの年代も、「血流の量」が多いほど「髪の毛の太さ」が太いのであれば、問題を感じないのですが、中年層(30歳から49歳、上の【6】)の結果だけが意味不明です。

 

このままでは、頭皮マッサージに効果があるとしても、中年層は例外ということになってしまいます。

「中年層の謎」のみ解明されないまま、著者が研究内容をさらに深めた、あらたな論文に移ってみます。

 

頭皮マッサージによる血行・血流の効果

2014年に日本化粧品技術者会が発行した、「日本化粧品技術者会誌 2014 Vol.48 No.2」。「地肌マッサージの頭皮への作用」という論文が掲載されています。

著者は、先ほどの花王株式会社 ヘアケア研究所の曽我 元さんと、森田康治 新井賢二さんです。

 

出典:日本化粧品技術者会誌 2014
Vol.48 No.2 表紙

 

社内の男性(健常者)6名に対して、行なった分析です。左右の耳から上7cmの部分を分析対象にして、7mm四方に髪の毛を刈ります。

この部分と、左右の前腕内側の中央部分を比較しています。血流の量は、「レーザードップラー画像化装置」を使って計測したそうです。

 

地肌マッサージに、心身のリフレッシュやリラックス効果があることは、間違いないでしょう。それ以上に何が有効なのか、が論点となります。

次のように分類したマッサージの動作によって、「前腕部と頭皮で、血流の量にどのように違いが生じるのか」を測定した、希少な研究です。

 

【揉涅法】(揉む刺激 - kneading)
人差し指で約2kgの強さで頭皮を押したまま、ゆっくりと回転するように1分間もみます。回転の速さは、1秒間に1回転程度です。

【圧迫法】(押す刺激 - pressing)
人差し指で約3kgの力で押さえてから、ゆっくりとゆるめていきます。これを、2秒間に1回程度の速さで1分間くりかえします。

【強擦法】(強くさする刺激 - friction)
人差し指で約1.5kgの強さで頭皮を押しながら、さするように往復させます。往復する速さは、2秒間に1往復程度です。

【動擦法】(軽くさする刺激 - stroking)
強擦法と同じような往復動作を、あまり力を加えないで軽くさすります。往復する速さは、2秒間に1往復程度です。

 

出典:日本化粧品技術者会誌 2014
Vol.48 No.2 100ページ
(縦軸は血流の量、横軸は時間、
左は前腕、右は頭皮)

 

上図の結果で分かるように、前腕部の場合、血行・血流を上げる効果があるのは、強擦法のみです。

いっぽう、頭皮の場合は、圧迫法に最も血行・血流効果があり、続いて強擦法、揉涅法となります。

前腕部と違って、頭皮は頭蓋骨に支えられているため、圧迫法の効果が高いと思われます。

 

頭皮マッサージの効果をアップする方法

以上の結果を受けて、著者らは4つのマッサージ法を組み合わせて、3分程度で行えるパッケージを草案しました。次のような手法です。

 

出典:日本化粧品技術者会誌 2014
Vol.48 No.2 99ページ

 

この方法(3分程度)を行なうと、20分後の血流の量が、約20%程度上がることが確認されました(下のグラフ)。

 

出典:日本化粧品技術者会誌 2014
Vol.48 No.2 101ページ
(縦軸は血流の量、横軸は時間
●は頭頂部、▲は側頭部)

 

この論文には、マッサージによって血管が拡張するメカニズムは、既に別の研究で報告されているという記述があります(102ページ)。

血管を取り巻く知覚神経が物理的な力を受けると、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をはじめとする、血管を拡張させる神経ペプチドが放出されるというのです。その結果、血管平滑筋が拡張して、血流の量が上がるようです。

神経ペプチドとは、神経が分泌するホルモンなどの総称です(出典:生物学用語辞典「神経ペプチド」)。

 

今回の研究で見逃せないのは、マッサージ前後で血流の量が変化した事に加えて、心拍数には変化が認められなかった点まで、確認していることです。

これは非常に大事なポイントです。心拍数が上がれば全身の血流量も増えるはずですが、心拍数に変化がないということは、頭皮の血流量だけが増えたことになります。

 

カラダ全体の血流量は変わらずに、頭皮の血流が増えたのであれば、頭皮以外の部分は血流の量が減っているはずです。

この状態が続けば、カラダ全体にとっては、良くないということになってしまいます。逆に続かないのであれば、頭皮マッサージの効果は、長続きしないことになるのです。

 

 

著者らは「心地よさ」という要素を加えると、副交感神経の作用により心拍数もかわるので、今後はその点も検討要素に加える必要があるだろう、と述べています。

さらに、地肌マッサージを、数ヶ月以上の長期間にわたって行なった場合の、髪の毛や血流の量などへの影響を、評価していく必要もあるだろうと述べています。

 

白髪と頭皮マッサージの総集編は、以下からご覧ください。
⇒ 白髪の原因と予防や対策まとめ~頭皮マッサージの効果がついに判明!

 

白髪の原因と頭皮マッサージ~まとめ

そもそも、白髪の原因と頭皮マッサージとの関係は何だったのか、念のため復習をしておきます。白髪の原因は4つ考えられ、そのうち1つでも起これば、必ず白髪になります。

 

 

白髪の原因は、毛母細胞に色素が届かないことですが、黒色の色素を作るのは色素細胞。色素細胞を作るのは色素幹細胞で、色素幹細胞に活性化の指示をするのは、毛包幹細胞です。

白髪の原因を解決するためには、「毛包幹細胞」「色素幹細胞」「色素細胞」「メラノソーム」「色素輸送システム」を、すべて正常にする必要があります。

 

今回の論文で、頭皮マッサージによって、一時的に頭皮の血流量が増えることは確かめられました。残る疑問は、3点です。

  • 一時的に頭皮の血流量が増えても、カラダ全体にとって問題はないのか。
  • 頭皮の血流量が増えると、白髪の原因を解決することにつながるのか。
  • 頭皮マッサージを、数ヶ月以上の長期にわたって継続した場合の、影響はどうなるのか。

 

【発表】
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