白髪の原因

白髪の原因とストレスの関係?なぜ増える医学からメカニズムを解明!

 

フランス王ルイ16世の王妃「マリー・アントワネット」は処刑前日に、たったの一夜で頭全体が白髪になったそうです。

世界王者ホセ・メンドーサとの死闘で燃え尽きたジョーは、コーナーサイドのイスに座り、全身が灰のようになったまま目を閉じます。勝ったホセも、ジョーに恐怖を感じながら完全燃焼し、頭髪は真白でした。

 

「北斗の拳」のレイは、命をかけた治療の辛さで白髪になりましたし、NHK連続テレビ小説「花子とアン」の蓮さまも、一晩で白髪になりました。

唐代の詩人・李白にいたっては、愁いがつのって白髪が三千丈(約9キロ)伸びた、という句まで残しています。

 

 

日常生活の中で頻繁に登場する「ストレス」という言葉、同じ現象でも人によって感じ方はさまざまです。仕事が忙しくてストレスを感じる人もいれば、あまりにヒマすぎてストレスを感じる人もいることでしょう。

ただでさえ言葉の重みが人によって異なるのに、本来の「ストレス」という言葉にはさらに広い意味があります。「白髪の原因はストレス」という表現だけでは、何も説明していないことと同じです。

 

具体的に、どのようなストレスによって白髪が増えるのか、何があり得て何はあり得ないのか、新たな視点を加えて完結編として、メカニズムを整理します。

なお、これまで取りあげてきた2記事については、以下からご覧ください。

 

「きわめて短時間で白髪が増える」ことの可能性を整理するとともに、ストレスが白髪の原因と誤解されるようになった理由を、明らかにしています。
⇒ 白髪の原因はストレスでない!30代40代の男性と女性には共通点が

 

広い意味でストレスをとらえた場合に、生物がストレスに対してどのような対応をしているのか、紹介しています。
⇒ 白髪とストレスの因果関係は医学で|驚きのマウス実験と急に増えた理由

 

なぜ増える白髪の原因~ストレスで一夜にして

なぜ白髪が増えるのか、その原因とストレスの関係を知るためには、白髪のメカニズムを理解する必要があります。当サイト全体の標準語みたいなものですから、初めに共有しておきましょう。

頭髪というのは、毛母細胞が分裂してから角化(死んで硬くなること)し、根元から積み上がっていったもの。黒髪とは、角化した細胞の中に黒色の色素が含まれている状態です。黒髪が白髪になるメカニズムは、以下のようになります。

 

出展:細胞工学 2013年 第32巻 第10号 1039ページ
(白髪の白い部分と「毛母細胞 色素細胞」の文字は当サイトによる)

 

上図のように、色素が運び込まれなくなった毛母細胞が分裂してできる白髪は、根元からだんだん伸びていきます。人の頭髪は1日に0.4mm、1ヶ月に1.2cmの速さで伸びますから、黒髪も白髪も、伸びる速さは同じです。

頭髪は死んで硬くなった細胞ですから、黒髪の色素が抜け出たり、逆に白髪に色素が入り込んだりすることもありません。

 

黒髪が白髪になるときも、逆に白髪が黒髪にもどるときも、1日に0.4mmのスピードで、根元から髪の色が変わっていきます。これ以上のスピードで、頭髪の色が変化することはありません。

つまり、冒頭に紹介した例は相当なストレスであることに違いないでしょうが、「きわめて短い時間で白髪が増える」ことはあり得ないと言えます。

 

日常生活で行える、白髪の予防・改善法を整理しました。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪の原因と予防や改善まとめ~色素や紫外線ストレスから東洋医学も

 

なぜ増える白髪の原因~ストレスの意味

なぜ白髪が増えるのか、その原因とストレスの関係を知るうえで、そもそも「ストレス」という言葉の意味を理解しておく必要があります。

 

物理的ストレス(寒冷、騒音、紫外線、放射線など)、化学的ストレス(酸素、薬物など)、生物的ストレス(炎症、感染など)、心理的ストレス(怒り、不安など)に分類されます(出典:Wikipedia「ストレス」)。

医学や心理学の領域では、外部からの刺激をストレッサーと呼び、ストレッサーに適応するための反応をストレス反応という。ストレッサーの種類は、物理的、化学的、心理的の3分類(出典:厚生労働省)。

 

心理的ストレスについて、興味深い研究があります。米スタンフォード大学の心理学者であるケリー・マクゴニガルさんは、ストレスを有害だと思っている人には有害になるし、有害だと思っていなければ、むしろ有益なものになると主張しているのです。

 

 

詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
⇒ 白髪とストレスの因果関係は医学で|驚きのマウス実験と急に増えた理由

 

なぜ増える白髪の原因~心理的ストレス

なぜ白髪が増えるのか、その原因とストレスの関係を知るために、「南山堂 医学大辞典」を開きます。医学用語では「白毛(はくもう)」と呼ばれる白髪を、解説したのが以下のページです。

 

出典:南山堂 医学大辞典
1954ページ

 

医学大辞典による白髪の解説には、「ストレス」という言葉は登場しません。ただし、よく見ると「精神的ショック」という言葉が出てきます。

解説が次第に、命にかかわるほどの重篤な病に移っていくなかで、最後に登場してくる項目です。白髪もさることながら、もはや命の心配をしなければならないほどの、精神的なショックを受け続けた場合の話といえます。

 

日常生活で感じる「ストレス」とは、まったく次元が異なる世界となりますが、さすがにこのような状況では、白髪の増えることもあり得るということでしょう。

残る「物理的ストレス」「化学的ストレス」「生物的ストレス」については、どうでしょうか。

 

なぜ増える白髪の原因~(物理・化学・生物的)ストレス

なぜ白髪が増えるのか、その原因とストレスの関係を記述する研究論文などでは、物理的・化学的・生物的ストレスを取りあげる場合が多いといえます。これらのうち、化学的・生物的ストレスは、治療で治る可能性があるものです。

 

医学大辞典(1954ページ)に掲載されている、「クロロキンなどの薬剤」(マラリアなどの治療薬)は「化学的ストレス」に該当し、白髪の増えることもあり得るといえます。

また、同じページに掲載されている各種の疾患も、分類としては「生物的ストレス」に該当し、白髪の増えることがあり得るわけです。

 

 

物理的ストレスで日常的に接するのは、紫外線でしょう。紫外線は生物にとって、遺伝子の損傷をまねく危険な存在です。

そもそも、黒髪のもとである色素メラニンは、紫外線から遺伝子を守るために生物が作り出した、生き残りの知恵です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪の原因とメカニズム解明!紫外線とメラニンの関係やチロシンとは

 

紫外線とともに、自然界に存在して遺伝子の損傷に影響する物理的ストレスが、放射線です。

東京医科歯科大学 西村教授の研究チームは、マウスに物理的ストレス(放射線)や化学的ストレス(活性酸素)を与えることによって、幹細胞の老化メカニズムを解明していきました。

 

遺伝子の損傷が蓄積することによって、最終的には毛包幹細胞が枯渇して、薄毛や白髪になるというのです。

つまり、物理的ストレスや化学的ストレスによる、遺伝子損傷の蓄積によって、結果的には白髪の増えることもあり得るということになります。

 

幹細胞の老化メカニズムについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒ 白髪の原因は遺伝子の異変?加齢と幹細胞の老化メカニズムついに解明

 

なぜ増える白髪の原因とストレス~まとめ

なぜ白髪が増えるのか、その原因とストレスの関係を、「ストレス」の分類にしたがって追いかけてきました。その結果をまとめると、次のようになります。

 

【物理的ストレス】
紫外線や放射線などで、遺伝子の損傷が蓄積して、結果的に白髪の増えることはあり得ます

【化学的ストレス】
クロロキンなどの薬剤や、過酸化水素などの活性酸素で、遺伝子の損傷が蓄積して、結果的に白髪の増えることはあり得ます

【生物的ストレス】
各種の疾患(尋常性白斑、円形脱毛症の再生期、フォークト・小柳・原田病、ビタミンB12欠乏症、吸収不全症候群、内分泌障害、神経疾患)や、精神的ショックにともなって、白髪の増えることはあり得ます

この場合は、白髪よりも命を優先して治療してください。

【心理的ストレス】
心理的ストレスと白髪の関係性を示すような、臨床データは存在せず、「白髪ストレス説」に根拠はありません。円形脱毛症も、現在では自己免疫疾患が原因と考えられています。

白髪の生える時期とストレスの増える時期が重なることから、「白髪ストレス説」が生まれてきたのではないでしょうか。

 

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