白髪の原因

白髪の原因とメカニズム解明!メラニン色素で黒髪に見える理由とは?

2018/11/23

 

2010年2月12日にPHP研究所から出版された「科学のおはなし からだのふしぎ」。監修は、細谷亮太 聖路加国際病院副院長。

多数の育児書監修を手がけておられ、母親向けの育児講座もされています。

 

出展:からだのふしぎ 表紙

 

この本では、「暑いと汗が出て、寒いと鳥肌が立つのはなぜ?」「なぜ、指紋は人によってちがうの?」など30テーマを取り上げて、子ども向けに説明されています。

30テーマの中には、「年をとると、どうして白髪になるの?」という質問も。

 

子ども向けの本でもあり、大きな文字でわずか4ページと情報量は少ないですが、大事な内容に絞られているとも言えます。

これから展開していく「毛髪の科学(全4回シリーズ)」の第一歩として、大人に向けて掘りさげてみましょう。

 

白髪の原因とメカニズム~黒髪のもとは色素メラニン

図書には、黒髪が白髪になる原因とメカニズムのヒントが満載で、キーワードとして「色素」「メラニン」という言葉が登場します。

 

毛髪の色と色素メラニン

4ページで説明されている内容をまとめると、以下のようになります。

 

  • 毛髪の色は地域や民族で異なり、黒髪・栗毛・金髪・赤毛などがある。
  • これらの色の違いは、毛髪の中にある色素の量で決まる。
  • 毛髪の色素はメラニンといい、黒い色素と赤い色素の2種類がある。ほとんどの人は、両方の色素を持っている。
  • 黒い色素が多い人は、黒髪になる。
  • 赤い色素が多い人は、赤毛になる。
  • 両方の色素が多い人は、栗毛になる。
  • 色素が両方とも少ない人は、金髪になる。
  • 年をとると、毛髪の根っこの部分で、メラニンを作る力が弱まる。
  • そのため、黒髪・栗毛・赤毛・金髪すべての人が年とともに毛髪の色が薄くなっていき、やがて白髪になる。
  • 一般的に白髪となる順番は鼻毛・髪の毛・眉毛の順で、理由は分かっていない。
  • 親から受け継いだ体質によって年をとっても白髪にならない人もいれば、そのかわりに髪の量が減ったり、両方とも現れたりする。

 

色素メラニンは2種類

以上の説明で、色素メラニンによる黒髪と白髪の違いが、何となく浮かび上がってきました。

「金髪の人は、金の色素を持っているのですか?」と質問したくなってしまいますが、色素は2種類と断言されています。

 

それならば、「少しの黒い色素と、少しの赤い色素で、どうして金髪になるのですか?」と、質問したくなったり。

ただ、今回は「色素」と「メラニン」という2つの重要な言葉が出てきたので、充分な収穫といえるでしょう。

 

細谷先生に対しては僭越ながら、当サイトではメラニンをすべて、「黒色のユーメラニンと黄色のフェオメラニン」という言葉に統一しています。

理由は第2回目で詳しく説明しますので、それまでは気にしなくて結構です。

 

 

では、ここまでの内容を、大人向けに整理してみます。

 

メラニンという色素は2種類で、黒色のユーメラニンと、黄色のフェオメラニン。多くの日本人の毛髪は「黒色のユーメラニン」が支配的なので、黒髪です。

年齢に関係なく、何らかの理由でメラニンの供給がなくなると、黒髪から色素がなくなってしまい白髪となります。

 

金髪は金色の色素をもっているのではなくて、「わずかな黒色のユーメラニン」と「多めの黄色のフェオメラニン」が、配合された結果として見える色です。

黒色と黄色の混ざりぐあいによって、ブロンドの色合いも変わり、色素がなくなれば白髪になります。

 

白髪の原因とメカニズム~黒髪と色素メラニン

白髪の原因とメカニズム、キーワードは色素メラニンであることが分かりました。

では、同じ毛髪が色素によって、黒髪・栗毛・赤毛・金髪・白髪に分かれるのは、なぜなのでしょうか。

 

色素のはたらきを知るための身近な例として、植物を考えてみます。

 

一年中葉を付けているのは「常緑樹」で、秋から冬にかけて葉を落とすのが「落葉樹」。常緑樹の葉は一年中緑色ですが、落葉樹の葉は落ちる前に茶色になるもの、赤くなるもの、黄色くなるものがあります。

赤くなるものは紅葉(こうよう)、黄色になると黄葉(こうよう)と呼ばれ、茶色になるものは特に名前がありません。

 

 

始めは緑色だった葉っぱが、秋になって黄色・茶色・赤色に変わる理由を考えてみましょう。葉っぱが緑色の理由は、クロロフィル(葉緑素)という緑色の色素が多いからです。

他にも「カロチノイドという黄色の色素」「フロバフェンという茶色の色素」も含まれていますが、クロロフィルが圧倒的に多いため通常は緑色に見えます。

 

冬が近づいてくると、植物は厳しい冬を越すため、葉っぱに水を送る道を閉ざします。

植物の本体は生き残りますが、水分を断たれた葉っぱは生きていけません。そしてクロロフィル(緑色の色素)は、分解してなくなります。

 

 

その結果、もともとカロチノイドが多かった植物の葉は黄色(黄葉)になるし、フロバフェンが多かった植物の葉は茶色になるのです。

 

 

さらに葉っぱに残っていた糖分は、光によって「アントシアンという赤色の色素」に変化します。このアントシアンが全体的に多い植物の葉は、赤色(紅葉)になるわけです。

それと同じように、毛髪の中に含まれる色素の量が変化すれば、見える毛髪の色も黒髪・栗毛・赤毛・金髪などのように変わってくるのです。

 

これらの中には、白髪が含まれていません。「白」を知るためには、さらに光のメカニズムを理解する必要があります。

 

白髪の原因とメカニズム~黒髪と「色・光」

おなじ毛髪を、黒髪と白髪に分ける色素メラニン。そもそも白髪が白色に見えるのは、なぜなのでしょうか。「色」と「光」のメカニズムを、掘りさげてみます。

 

色のメカニズム

緑の色素があると緑色に見えて、赤い色素があると赤色に見えるのはなぜなのか。

 

それを理解するためには、光の三原色を知る必要があります。緑の光・赤い光・青い光の3つを、「光の三原色」といいます。

三原色と呼ばれる理由は、この3種類の光を混ぜ合わせることによって、全ての色の光を作り出すことができるからです。

 

ちなみに、絵の具などで色をつくるときに、混ぜるのは「色の三原色」。「光の三原色」とは、別物です。

 

 

たとえば赤い光と緑の光を混ぜると、黄色い光。緑と青を混ぜれば水色、赤と青を混ぜれば赤紫色の光に見えます。

白色の光とは、すべての色の光が混ざったものです。太陽光は分解すると七色の光になりますが、普段はすべて混ざっているから白というか透明で「白色光」と呼ばれます。

 

カラーテレビの画面に近づいてよく見ると、緑・赤・青の細かな光の点が集まっているだけだと分かります。

「光の三原色」を組み合わせることによって、人工的に色を作り出しているのです。混ぜあわせ方によって、どんな色の光でも作り出すことができます。

 

光のメカニズム

黒髪から色素メラニンがなくなると、同じ毛髪が白髪になるのはなぜなのか。黒色と白色の違いは、まさに光のメカニズムといえます。

 

人が物を見ることができるのは、物から反射した光が目に届くからです。物が赤い色素を持っていれば、赤い光を除く全ての光を吸収して、赤い光だけを反射します。

そのため人に届く光は赤い光だけとなり、その物が赤く見えます。緑の色素とは緑の光だけを反射する物質だし、青の色素とは青い光だけを反射する物質です。

 

 

物質が全ての色の光を吸収してしまうと、人の目には光が届かないので黒く見えます。たとえば赤いリンゴに赤い光を当てると、赤い光を反射するのでリンゴは赤。

ところが赤いリンゴに緑や青い光を当てると、赤以外の光は吸収してしまいますから黒く見えるというわけです。

 

つまり日本人の黒髪に多く含まれるメラニン(黒色のユーメラニン)は、全ての色の光を吸収する性質がある物質だということです。正確に言うと、紫外線や赤外線を含めた全ての光を吸収します。

この「全ての光を吸収する性質」には、極めて重大な意味があります。生物が生き残る究極の技(ワザ)、と言っても過言ではありません。その具体的な意味は、次回で説明します。

 

 

色素とは、何らかの色の光を吸収して、何らかの色の光を反射する物質だといえます。では色素がまったくない状態だと、どうなるのでしょうか。

色素がないということは、何らかの色を吸収する物質がないということになります。

 

黒髪から色素がなくなると、毛髪は全ての色の光を反射します。反射された全ての色の光が人の目に入ると、人にはその毛髪が白く見えるはずです。

そのような状態の毛髪を、白髪と呼ぶのです。

 

全4回のなかで、今回は色素メラニンと光のメカニズムを詳しく見ていきました。少しづつ、白髪が生えるメカニズムへと移っていきます。

次回(第2回目)は、黒髪のもと「色素メラニン」そのものを解説します。以下のリンクをクリックして、ご覧ください。
⇒ 白髪の原因とメカニズム解明!紫外線とメラニンの関係やチロシンとは

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