白髪染め

白髪染めトリートメント~自宅で染める市販タイプを美容院プロが検証

2018/10/21

 

2015年9月25日に女性モード社が発行した、「ホームカラー併用のための 新発想グレイカラーレッスン」。著者は、kakimoto arms 青山店 ヘアカラーマネジャーの岩上晴美さんです。

 

出典:新発想グレイカラーレッスン 表紙

 

この図書は、美容院のプロに向けたレッスン書なのですが、シロウトにも役立つ実用的な知識が多く記述されています。

  • グレイカラーと、ファッションカラーの違いは?
  • ヘアマニキュア、カラートリートメントって何?
  • 美容院と自宅(市販タイプで染める)用の違いは?
  • 自宅で染める、コツは?

といった基本的な疑問から、「自宅で染める市販タイプ」の実力チェックまで、ていねいにレッスンが進められています。

図書の後半では、「自宅で染める市販タイプ」がどんどん進化する中で、自宅派に対して、プロとしてどのようなサービスを提供していく必要があるか、という内容に移っていきます。

 

前半部分の内容が、「顧客」と「美容院」両者の視点から掲載されているので、利用者としても視野が広がるものになっています。

図書の前半部分を参考にしながら、当記事としては利用者側の目線で整理してみます。

 

白髪染めトリートメントをする場所

最初に、白髪染めを含めた、ヘアカラーやカラートリートメントをする場所に関して、2013年の調査結果(各年代の女性を対象)が掲載されています。

 

出典:新発想グレイカラーレッスン 8ページ

 

上図を見ると、10代・20代・30代の女性の6割~7割はいつも美容院でするのに対して、40代・50代の女性では4割前後となっています。

それに対して、美容院と自宅(市販タイプで染める)を併用する割合は、すべての年代で3割前後と、あまり違いは大きくありません。

 

いつも自宅(市販タイプで染める)の人は、10代・20代・30代の1割前後に対して、40代・50代は2割強と、倍以上になっています。

美容院としての問題意識は、2つあります。1つ目は、併用を含めて美容院を利用する率が9割という10代・20代・30代が、将来グレイカラー(白髪染め)に移っても、この割合を維持したいという点です。

 

2つ目は、美容院と自宅を併用する割合が3割という40代・50代に、もっと美容院の良さを理解してもらい、美容院を利用する頻度を上げてもらいたいという点です。

併用派は、ヘアカラーやカラートリートメントを、なぜ美容院と自宅(市販タイプで染める)で使い分けているのでしょうか。

 

冒頭に述べたように、この図書はプロ向けのものですから、基礎知識に関するレッスンがありません。

白髪染めの種類、使用する染料、染めるメカニズムなどについて、詳しくは以下の記事(以降では、「基礎知識の記事」と呼ぶ)をご覧ください。
⇒ 白髪染めトリートメント~自宅で染める市販タイプと美容院の比較結果

 

美容院と自宅(市販タイプで染める)を使い分ける理由

美容院と自宅(市販タイプで染める)を併用する人の、理由を整理したのが下図です。

 

出展:新発想グレイカラーレッスン 9ページ

 

10代・20代・30代の理由は、圧倒的に「コスト」であることが分かります。ところが、40代の「コスト」は3位、50代にいたっては、理由のベストスリーに、「コスト」は登場しません。

40代・50代ともに、1位と2位は、「時間」と「全体染めと部分染めの使い分け」で、合計すると圧倒的な理由となります。ところが、「全体染めと部分染めの使い分け」には、コストよりも、時間的な要因が大きいのではないか、と分析されています。

 

さらに、希望施術時間をまとめると、どの年代も半数強は2時間程度です。いっぽう、1時間から1時間半程度を希望する女性は、10代・20代・30代で約30%、40代が36%、50代は39%と増えていきます。

もともと、回答者は「現実的に2時間ほどかかるだろう」という感覚で回答していると思われるので、実際には時短のニーズは高いのではないでしょうか。

 

美容院と自宅とのシェア争いにおいて、時間という要素がひびいてくることが分かります。

時間がないとはいえ、顧客はもともと白髪をどうにかしたいのだし、求める仕上がりイメージもあるわけです。いっぽう、顧客が市販の白髪染めを使用して自宅で染めると、美容院には髪の履歴が分かりません。

 

【美容院】
ダメージが大きくムラのひどい髪を、1回で顧客のイメージ通りに仕上げるのは、ハードルが高い、という美容院の厳しい現実があります。とはいえ、白髪を染めなければ、クレームになってしまいます。

【顧客】
顧客からすると、せっかく時間をさいて美容院に通ったのに、自分のイメージ通りにならないなら、市販の白髪染めを使用して、自宅で染めるほうがマシ、ということになってしまいます。

 

この悪循環と矛盾は、どのようにすれば解決できるのでしょうか。難問が残されたまま、話題は次へと移ります。

 

ファッションカラーとグレイカラー(白髪染め)

ヘアカラーは、染毛剤として「酸化染毛剤」を使用します。この図書ではヘアカラーを、ファッションカラーとグレイカラー(白髪染め)に分類していますが、違いは何なのでしょうか。

(補足:「基礎知識の記事」では、ファッションカラーやグレイカラーという分類は登場しません。染め方の分類が、美容院でさまざまだと分かります。)

 

白髪が気になり始めた女性にとっては、「白髪染め」という言葉そのものに抵抗感があるでしょう。そのため、最近はグレイカラーという言葉を使うことも多いようですが、要するに白髪染めです。

ファッションカラーとグレイカラー(白髪染め)の違いは、染料に配合される色素にあります。髪の明度をコントロールするブラウン系の色素の少ないのがファッションカラーで、多く配合されているのがグレイカラー(白髪染め)です。

 

出展:新発想グレイカラーレッスン 18ページ

 

上左図は、白髪にファッションカラーを使った場合の様子です。ブラウン系の色素が少ないので、ほとんど染まりません。

上右図は、白髪にグレイカラー(白髪染め)を使っています。ブラウン系の色素が多いので、黒髪に近づきます。

 

1剤に配合されるアルカリ剤がキューティクルを開き、1剤の染料と2剤の過酸化水素が髪の中に深く浸透するのが、ヘアカラーの特徴です。

過酸化水素とアルカリ剤で発生した酸素は、メラニン色素や過去に使った染料を分解して脱色し、染料が発色して髪が染まります。

 

美容院プロが検証する自宅用(市販)~白髪染め

自宅で染める市販の白髪染めについて、実力を検証する前に、市販タイプと美容院との違いを、明らかにしておきます。

メーカーによっては、市販タイプと美容院向けの両方を、製造している所もあるわけです。この説明は、「基礎知識の記事」よりも一歩ふみこんだ部分でもあり、現場の臨場感が漂います。

 

【2剤(過酸化水素)】

美容院向けは、髪質の状態によって過酸化水素の濃さを変えることで、メラニン色素の分解力を調整することができます。さまざまな濃度の2剤が、製造されています。

自宅向けは、2剤の種類が1つです。そのため、利用頻度や髪のダメージに応じた対処はできません。

 

【薬剤の特徴】

美容院向けは、1剤に配合される「アルカリ剤の量」や「染料の色」も種類が多いです。ダメージの状況や顧客の希望に合わせて、適切な薬剤を使った施術が可能です。たとえば、根元と毛先で、薬剤を変えて塗り分ける事もできます。

自宅向けは、一般の人が染めやすいよう工夫されています。クリームタイプ(小分けできる、部分染めできる)、乳液タイプ(馴染みやすい)、泡タイプ(手軽)や昔からの粉末タイプなどです。色はムラの少ないブラウンベースが中心ですが、最近はニーズに合わせて明るい色も増えてきました。

 

【仕上がり】

美容院向けは、色数(明度、色相、彩度)が多く、くすんだ色、クリアな色もあります。グラデーション、ツーセクションといった、カラーデザインも、可能です。

自宅向けは、時間の合間を見て行なうこともあって、どうしても塗り残しがあったり、放置時間が適切でなかったりするケースが生じます。何度か塗るうちに、根元と毛先で染料の重なり具合が異なり、髪の状態も変わってきます。

 

 

以上をまとめると、美容院も自宅用も、薬剤の基本は変わりませんから、ポイントは適切な施術を行なえるかどうかです。

正しい染め方でなければ、繰り返すうちに、ムラやダメージが積み重なってしまいます。

 

「市販の白髪染め」の実力を見極めるために、著者の岩上さんが施術を行なって検証しました。

白毛束に使用するのは、ドラッグストアで購入した「ウォーム系ブラウン」「ナチュラル系ブラウン」「マット系ブラウン」の3色。

自宅歴10数年というモデルさんには、普段使用している「マット系ブラウン」を使用しています。

 

  • 白毛束の検証では、著者の事前予想よりも、明るくて薄い色味。色相や明るさを選べるので、確かに手軽で便利、と述べられています。
  • ただ、白髪の場合は、染まったり染まらなかったりする事があるので、きちんと染まるタイプが人気なのだろうとのことです。
  • モデルさんによる検証では、さすがにプロの施術なので、生え際の白髪はしっかりと染まり、毛先は暗く根元が明るいという、ムラの状態もキレイにおさまっていました。
  • 自宅タイプの薬剤は基本的に美容院と変わらないのだから、色に不満がなければ問題点は「適切な施術」のみ、と証明されたようなものです。
  • 髪の全体に何度も色を重ねると、根元は明るく毛先は暗くなります。気になる顔まわりに、塗る回数が増えると、染料が重なって顔まわりがくすみます。
  • 必要な所を部分的に塗るのがベストでしょうが、一般的な人が的確に判断して施術するのは難しいでしょう。

 

美容院プロが検証する自宅用(市販)~カラートリートメント

美容院のプロが検証する、白髪染めトリートメント(市販タイプの自宅用)。図書では、酸性染料のカラートリートメントを、検証しています。

 

ヘアマニキュアも酸性染料で染めますが、皮膚につくと簡単に落とすことができません。自分で染める場合は根元ギリギリまで塗ることができないので、白髪の伸びが気になってしまいます。

カラートリートメントは、グレイカラー(白髪染め)よりも手軽に染められるうえに、くり返し使うことで色が浸透し、トリートメント効果も期待できるため、大人の女性に人気のようです。

 

なお、「基礎知識の記事」で、カラートリートメントには、酸性染料、塩基性染料、HC染料、3種類あることを説明しました。

このうち今回の図書では、酸性染料のカラートリートメントについて、「使うたびに染まる」と言われている効果の実際を検証しています。

(補足:「昆布系」といわれる製品も、配合されている直接染料が、髪を染めます。昆布由来の成分に、髪を染める効果はありません。)

 

 

白い毛束(ヤクの毛)を使用して、2社のカラートリートメント(色はダークブラウン)で、使用方法どおりに染めています。

シャンプー後にタオルドライして、カラートリートメントを塗り、10分間そのままにしてから水で洗います。これを1日1回で計2回おこなって比較しています。

 

  • 著者が事前に想像していたよりも、1回でかなり染まったと述べています。さらに2回目では、ダークブラウンというよりも黒、と言ったほうが良いかもしれません。
  • ためしに9回染めてみると、もはやダークブラウンの色味はなくなって、漆黒の輝きと表現しています。目視では、緑色に近い状態とも記述されています。
  • 「明るくしたくない」「とにかく白髪が白くなければ良い」というニーズに応えることはできるので、オススメだそうです。手軽なことに加えて、染まっている実感値も高いはずだとのこと。
  • 明るさやカラーデザインを求めなければ、オススメだと言えそうです。

 

この図書は後半戦で、プロとしてどのように対応していくか、というテーマに移っていきます。最後に前半戦の総括として、著者の岩上さんは、「自宅で染める市販タイプ」の評価として、「かなり手ごわい!」と締めくくっています。

当サイトの解釈としては、「敵ながら、アッパレ」と聞こえます。

 

【参考情報】商品パッケージに、「無添加」「自然素材」「ジアミン系不使用」と書かれていても、安全安心とはかぎりません。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪染めトリートメント~ヘアカラーの成分と頭皮トラブルに要注意!

 

白髪染めトリートメント自宅用を美容院プロが検証~まとめ

【グレイカラーとファッションカラー】
ともに酸化染毛剤をしますが、違いは染料に配合される色素にあります。グレイカラー(白髪染め)にはブラウン系の色素が多く、ファッションカラーには少なく配合されています。

 

【ヘアマニキュアとカラートリートメント】
ともに酸性染料を使用しますが、カラートリートメントの場合は、染料に塩基性染料やHC染料を使用するものもあります。

 

美容院と自宅用
薬剤の種類は異なりますが、薬剤の基本は変わらないので、適切な施術を行なえるかどうかがポイントとなります。

 

自宅で染めるコツ
明るさやカラーデザインを追求しない場合、カラートリートメントは、プロからみてもオススメといえるそうです。

 

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