白髪の原因

白髪は遺伝で発生するのですか?医学の考え方と若白髪の確率を解説!

2018/09/09

 

この質問には、すでに質問者さんが遺伝を白髪の原因と思っている気配を感じます。

たとえば「メガネをかけると白髪になりますか?」という質問は、聞いたことがありません。多くの人が何となく遺伝を白髪の原因だと考え、メガネは関係ないと思っているのはなぜでしょう。

それは理由や根拠が知らされないままに、「白髪は遺伝」と念仏のように世間が唱え続けてきたから。いつのまにか、頭の中にインプットされたのです。

結論からいうと、遺伝は白髪の原因ではありません。その根拠と証拠を、これからお見せしましょう。人体に関する質問なのですから、答えは医学の世界に見いだすべきだと当サイトは考えます。

 白髪と遺伝を、医学の世界から見る!

身元不明の情報には見向きもせず、白髪と遺伝の真相を医学関連の論文や図書に求めてみます。情報の発信元となる団体名や著者の名前および肩書が、明確だからです。

科学誌の研究記事

「DNA(遺伝子)に働き掛けて白髪を退治」。ニューズウィーク日本版(2016年3月22日号)の掲載記事です。ここで紹介しているのは、2016年3月の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された研究内容。毛髪の色つやを決定する遺伝子が、ついに突きとめられたといいます。

出典:ニューズウィーク日本版
2016年3月22日号 78ページ

この研究は、中南米の6000人(ヨーロッパ系・アメリカ先住民・アフリカ系)を対象にしており、遺伝子的なかたよりを除く工夫がされています。

黒髪のもとであるメラニンの生産量をおさえる働きをするのは、「IRF4」という遺伝子であることが分かったそうです。

毛包(毛根を包む組織)の形を決める酵素の生産量を決めるのは、「PRSS53」という遺伝子。直毛やクセ毛などの特徴は、毛包(毛根を包む組織)の形で決まります。

さらに頭髪の外見や感触などに影響を与える、18個の遺伝子が特定されました。

ここで注意しなければならないのは、「遺伝子の特定」と「メカニズムの解明」は違うということです。

白髪を例にすると、「引き金が引かれる ⇒ 白髪のメカニズムが動き始める ⇒ 白髪になる」という順序をたどります。「引き金」にあたる遺伝子の一部は特定されましたが、白髪のメカニズムが明らかになったわけではありません。

医学大辞典

白髪と遺伝の基本にもどるために開くのは、医学・医療の業界から信頼を得ている「南山堂 医学大辞典」。1954年に国内で初めて日本人によって作製された、総合的な医学専門辞典です。

出典:南山堂 医学大辞典 表紙

「白毛(はくもう、医学用語で白髪のこと)」を、次のように解説しています。

序文、先天性白毛、後天性限局性白毛、若白髪と4つの部分に分けました。序文には一般的な白髪の特徴として、「加齢(老化)とともに白髪が増える傾向がある」と書かれています。

先天性白毛は「生まれつきの白髪体質」、後天性限局性白毛は病気による白髪の記述ですが、今回テーマとしては対象外と考えます。

ここで明確になったのは、遺伝と一般的な白髪との関係はまったく記述されていない点と、若白髪は「優性遺伝性」と断定している点です。

医学専門家の論文

2006年6月8日 南山堂 発行の「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」。板見智 大阪大学教授と宮地良樹 京都大学教授による監修で、23名の医学専門家が執筆した論文集です。白髪と遺伝の関係を知るヒントとして、以下のような意味の表が掲載されています。

出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療
毛髪最前線 表紙

1 【全身におよぶ境界線のない白髪】

 1) 加齢に伴う白髪

 2) 若白髪

  a) 遺伝性のもの

  b) 自己免疫によるもの(甲状腺機能亢進症、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)など)

 3) 生まれた時から色素がないことによるもの(白皮症など)

 4) その他の白髪

  a) 栄養障害によるもの

  b) 自己免疫によるもの(尋常性白斑、甲状腺機能亢進症、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)など)

  c) 放射線や薬剤などによるもの

 

2 【部分的で境界線がはっきりしている白髪】

 1) 部分的な白皮症など

 2) 自己免疫によるもの(尋常性白斑、円形脱毛症など)

 3) 放射線や薬剤などによるもの

出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線 144ページ

以上から判断すると、病気の場合を除けば、白髪には「一般的な加齢(老化)に伴う白髪」と「優性遺伝性の若白髪」があることが明らかになりました。

白髪の原因と遺伝の関係を整理すると?

さらに大事なことは、どの資料にも「白髪の原因」は書かれていないという点です。「加齢(老化)」や「優性遺伝性」という引き金は認識できるものの、メカニズムや原因までは特定されていないということになります。

詳しく説明した記事を後ほど添付しますが、ここでは「医学大辞典」によって判明する「白髪の原因」をかんたんに解説してみます。

もともと頭髪には色素が含まれていないので、白髪です。白髪に黒色の色素(ユーメラニンといいます)が入りこめば、黒髪となります。

つまり白髪の原因とは、もともとの白髪に黒色の色素が運びこまれないことなのです。黒色の色素を作る色素細胞(メラノサイトともいいます)から、色素を運ぶ輸送システムまでの、どこかに機能不全が発生すれば黒髪は白髪にもどってしまいます。

色素細胞(メラノサイト)の中にあるメラノソームという小器官の中で、黒色の色素(ユーメラニン)が作り出され、貯蔵されます。

メラノソームの中では、チロシナーゼという酵素が作用することによって、チロシンというたんぱく質が色素(黒色のユーメラニンか黄色のフェオメラニン)へと変化していきます。

色素の製造から輸送システムまでのうち、経路が途切れる可能性として考えられるのは4ヶ所です。「加齢(老化)に伴う白髪」も「優性遺伝性の若白髪」も、4ヶ所のどこか(または複数)が機能不全になった結果といえます。

出展:FRAGRANCE JOURNAL 2014年3月 30ページ
(赤字部分は当サイトによる)

【白髪の原因1】
色素を作り出す細胞である色素細胞(メラノサイト)が、減るかなくなってしまった。

【白髪の原因2】
色素細胞(メラノサイト)は存在しても、メラノソームが減るかなくなってしまった。人種によって色素細胞(メラノサイト)の数や分布は変わりませんが、メラノソームの数が異なることが分かっています。

【白髪の原因3】
メラノソームの中で、黒色の色素(ユーメラニン)が作られなくなってしまった。具体的には材料のチロシン不足か、酵素のチロシナーゼ不足。白蛇や白虎など白皮症の原因がチロシナーゼであることが分かっています。

【白髪の原因4】
黒色の色素(ユーメラニン)は正常に作られたが、毛母細胞に運び込むための輸送システムが機能しなくなった。

 

「世界一わかりやすい【毛髪の科学】全4回シリーズ」は、簡単な内容から始まって、次第に真相を掘りさげていくものです。興味があるかたは、参考にしてみてください。以下のリンクは、全4回シリーズの第1回目です。
白髪の原因とメカニズム解明!メラニン色素で黒髪に見える理由とは?

若白髪と遺伝の関係を解明する!

原因は特定されていませんが、優性遺伝性と断定されている若白髪。優性遺伝性のメカニズムは明確ですから、発生する現象を説明することは可能です。

優性遺伝性とは?

たとえば血液型を例にすると、遺伝子は「A」「B」「O」の3種類です。血液型は、2つの遺伝子の組み合わせ(父親から1つ、母親から1つ)で決まります。

血液型の遺伝子は「A」と「B」が優性で、「O」は劣性。その結果「AB」はAB型、「AA」「AO」はA型、「BB」「BO」はB型、O型は「OO」のみ。

上図左は、父親がA型(AA)で母親がB型(BB)のケース。子どもが保有する遺伝子はすべて「AB」ですから、血液型は「AB型」のみです。

上図中は、父親がA型(AO)で母親がB型(BO)です。子どもが保有する遺伝子は、「AB」「AO」「BO」「OO」の4通り。つまり子供の血液型は、「AB型」「A型」「B型」「O型」の全てについて可能性があります。

上図右のように父親も母親もA型(AO)であれば、子どもは「AA」「AO」「OO」の3通りで、「A型」か「O型」です。このルールにしたがって、すべてのパターンにおいて血液型を特定することができます。

若白髪になる確率は?

若白髪の遺伝子を「若」、そうでないものを「黒」とします。「若」は優性ですから、「若若」「若黒」は若白髪で、「黒黒」は若白髪ではありません。「黒黒」は若白髪でないものの、加齢(老化)に伴う白髪になる可能性はあります。

父親も母親も「若若」の場合は、子供の遺伝子は「若若」のみです。100%の確率で、若白髪になります。

父親「若若」、母親「若黒」の場合、子供は「若若」か「若黒」。いずれも優性の「若」を含むため、100%の確率で若白髪になります。

父親「若若」、母親「黒黒」だと、子供は「若黒」のみ。やはり100%の確率で若白髪になります。

父親「若黒」、母親「黒黒」だと、子供は「若黒」か「黒黒」です。「若黒」で若白髪になる確率が50%。残り50%は「黒黒」で、若白髪にはなりませんが、加齢(老化)に伴う白髪になる可能性はあります。

両親ともに「若黒」の場合は、子供の遺伝子は「若若」「若黒」「黒黒」の3パターンすべて可能性があります。「若若」で若白髪になる確率が25%「若黒」で若白髪になる確率が50%、「黒黒」で若白髪にならない確率が25%となります。

若白髪は、優性遺伝のルールにもとづいて、ルールどおりの確率で現れます。加齢(老化)に伴う白髪よりも、早く現れただけであると理解してください。

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