白髪の原因 白髪と栄養

白髪の原因と栄養の関係まとめ~毛髪と栄養状態の意外な調査結果とは

 

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2020/05/26

 

カラダと栄養に関する情報は世間にあふれていますが、毛髪について知りたいことは、要するに次の3点に集約されるでしょう。

  • 栄養状態は、毛髪そのものに対して、影響があるのか、ないのか。
  • 栄養状態は、白髪の原因になるのか、ならないのか。
  • 白髪を改善する栄養(食材)は、存在するのか、しないのか。

これまで追いかけてきた栄養に関する4記事と、あらたに加えた図書から、総集編として整理します。

髪の毛と栄養の関係を網羅的に掲載しているので、根拠のない情報に振りまわされることが、すくなくとも今後はなくなるはずです。

 

毛髪と栄養

毛髪が伸びる速さは1日に0.4mm、1ヶ月に1.2cm、1年に14.6cm。毛髪とは、その長さの分だけ過去の情報が記録されている、「記憶デバイス」みたいなものです。その人の栄養状態や健康状態も、記録されていると考えられます。

人の体から採取する検体は、酵素などの作用によって変質していきますが、毛髪の場合は角化(死んで硬くなること)しているため、成分が安定しているわけです。毛髪分析によるDNA鑑定や各種検査などは、究極の利用法といえるでしょう。

 

現状では、毛髪分析による健康状態の判定方法は確立していませんが、栄養状態と毛髪の損傷との関係を研究した論文があります。

金城学院大学大学院人間生活学研究科 若林萌さんによる、「走査型電子顕微鏡観察により明らかになった毛髪の損傷形態と栄養状態との関連」(2014年)という研究です。

 

出典:金城学院大学大学院人間生活学研究科論集
第14号 2014 表紙

 

10代から80代までの健康な男性(45人)と女性(73人)、合計118人の毛髪を研究対象として採取。毛髪の状況を電子顕微鏡で観察し、アンケート調査により栄養状態を把握して、毛髪状態との関係性を分析しています。

毛髪が個人の過去をとどめていると言われて久しいのですが、これほど大規模に栄養状態との関係を解き明かそうとする論文は、珍しいといえます。時間と費用をかけた、意欲作ではないでしょうか。

 

キューティクルの損傷

栄養との関係に入る前に、毛髪の構造を確認しておきます。毛髪は下図のように、最も外側をキューティクル細胞が瓦(かわら)のようにおおっており、その内側にコルテックス、中心部にメデュラが存在します。

 

出典:2014年1月30日 化学同人発行
放射光が拓く化学の現在と未来 127ページ

 

ここで紹介している研究は、毛髪の最も外側にあるキューティクルの損傷具合と栄養との関係を、掘りさげていくものです。

まず、電子顕微鏡による観察で、毛髪のキューティクルの損傷を7つに分類しています。

 

出典:金城大学大学院人間生活学研究科論集
第14号 2014 15ページ

 

Aは「正常」(30代男性)で、カワラのように内部を守っていることが分かります。Bは先の部分がはがれて、浮いている「剥離」(30代女性)。Cは1枚ごとの境目が見えないほどすり減っている、「摩耗」(10代男性)。

Dはするどい傷のある、「割線」(30代女性)。Eは穴があいて下のキューティクルの層が見えている、「穿孔(せんこう)」(60代女性)。Fは多くの黒点がある、「黒点」(20代女性)。

Gはこわれてなくなっている、「破壊」(20代女性)。Hは完全に剥がれ落ちて、内部の層が見えている、「脱落」(60代女性)です。

 

年代による違い

男女合計118人のキューティクル損傷を、年代別・パターン別に整理したのが下図。

正常だったのは118人中15人で約1割、日常生活において9割の人は、キューティクルの損傷を受けているようです。

 

出典:金城大学大学院人間生活学研究科論集 第14号 2014 16ページ
(赤字は当サイトによる)

 

全年代で最も多いのは「剥離」であり、毛髪が損傷する際の初期に生じる現象と考えられます。

キューティクル損傷の大半は「剥離」と「摩耗」で、「穿孔(せんこう)」「黒点」「破壊」「脱落」は、全体の中では10%以下と少数派。

 

「破壊」は20代だけ、「脱落」は60代女性にしか見られません。

70代女性は、全体の中で多い「剥離」「摩耗」「割線」が、逆に少ない傾向にあることも分かります。

 

栄養と毛髪への影響

次に、キューティクルの損傷と栄養状態との関係を見てみます。栄養調査に回答があった90名について、正常な13名と異常が見られた77名に分けて、栄養状態をまとめたのが下図です。

結果は整理されましたが、ここから先が大変なことになります。多大な労力と費用をかけた著者は、さまざまな考察をしていますが、正直なところ「因果関係は無い」と言っても良いくらいです。

 

出典:金城大学大学院人間生活学研究科論集 第14号 2014 16ページ
(赤字は当サイトによる)

 

ほとんどの栄養素について、「異常の見られる群」が「正常群」よりも高い値を示していることが分かります。毛髪と栄養との関係でよく登場する「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン類」も、ことごとく「異常の見られる群」のほうが高いのです。

ここで念頭においておく必要があるのは、調査対象者はすべて健常者だということです。基本的な栄養が不足している状態ではありません。

 

じつは、研究論文の示唆する興味深い点が、もう1つあります。

「異常の見られる群」はほとんどの栄養素が高いという結果の中で、統計的に特に高いのが「エネルギー」「脂質」「一価不飽和脂肪酸」「コレステロール」「脂肪酸総量」「動物タンパク比」だということです。

 

 

多くの日本人の現状から考えれば、栄養不足よりもむしろ、「脂質」や「コレステロール」の取り過ぎに注意することのほうが、大事なのかもしれません。

もちろん、キューティクルとの関係性だけしか検証していないので、最終的な結論とは言えません。大事なことは、栄養を気にするよりも、カラダ全体からみたバランスの最適化を優先すべきだということでしょう。

 

白髪の原因と栄養

白髪の原因と栄養の関係を整理するにあたって、まずは基本となる医学大辞典を開きます。白髪(医学用語では白毛、はくもう)については、次のように解説されています。

 

出典:南山堂 医学大辞典 1954ページ

 

栄養に関係する部分といえば「ビタミンB12欠乏症」「吸収不全症候群」など、命にかかわる重大な病です。白髪より前に、命を案じて治療に専念すべき特殊な状態といえるでしょう。

通常の日常生活を送るなかで、カラダ全体の栄養バランスを重視すべきであり、むしろ毛髪のための栄養論は本末転倒であることを、具体的に示していきます。

 

栄養と白髪

極端な話として、かりにカラダよりも白髪を最優先にした栄養の摂取をおこなったとしたら、どのようなことが起こり得るでしょうか。

毛髪は命に直接かかわる器官ではありませんから、カラダ全体の優先順位としてはかなり低い部類にはいると考えられます。

つまり栄養に不足が生じると、カラダは生き残りをかけて栄養の配分を最適化するため、毛髪に栄養が回ってこない可能性すらあるわけです。

 

 

同じような考え方は、中国医学の漢方理論にもあります。毛髪は「血の余り」なので、不足すれば(栄養が足りなくなると)白髪や抜け毛などのトラブルが発生するというのです。

白髪を改善する可能性がある食材について、この次に紹介しますが、全体バランスという視点から本末転倒にならないよう注意してください。

 

以上のような考え方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪は栄養不足が原因なのか~西洋医学と東洋医学の一致する見解とは?

 

栄養と白髪の改善

白髪の原因からさかのぼって、白髪の改善策を検討していくと、白髪に有効と考えられる栄養と食材が浮かび上がってきます。

白髪の原因として考えられる4つのうち、1つは「色素メラニンの原材料が不足」していることが考えられるからです。

 

色素メラニンを作り出すためには、たんぱく質のチロシンと、化学反応を活性化する酵素のチロシナーゼが必須となります。

したがって、白髪の原因が色素メラニンの原材料不足にある場合は、チロシンおよびチロシナーゼを食材で補うことによって、黒髪がもどる可能性はあるわけです。

 

 

具体的には、チロシンには大豆・鯵・鶏卵・玄米・白米が、チロシナーゼには甲殻類(エビ・カニなど)・貝類・ココアなどの摂取が有効と考えられます。

ただし、4つの原因のうち1つに該当する改善策ですから、黒髪のもどる可能性は25%以下と考えたほうがよさそうです。

 

以上のような考え方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪の原因と予防や改善?食生活(食事/食べ物)で色素を増やす方法!

 

嗜好品と白髪の原因

栄養ではありませんが、はたして嗜好品が白髪の原因となる可能性は、あるのでしょうか。

 

コーヒーは、カラダに良いのか悪いのか。コーヒーに含まれる成分で白髪の原因として取りあげられるのは、活性酸素(過酸化水素)です。

ところが、コーヒーには活性酸素を緩和するための、抗酸化物質(ポリフェノール)も多く含まれているので、当サイトとしては結論が出ない状況にあります。

 

 

タバコやアルコール類が、カラダにとって悪影響を及ぼすことは明らかですが、白髪との直接的な関係はなさそうです。

 

以上のような考え方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⇒ 白髪の原因とコーヒーやタバコは無関係!飲酒(酒/アルコール)は?

 

白髪の原因と栄養~まとめ

栄養状態は、毛髪そのものに対して、影響があるのか、ないのか。

キューティクルの損傷との関係を見るかぎりでは、栄養不足を心配するよりも、むしろ「コレステロールや脂質の摂りすぎ」に注意すべきです。

 

栄養状態は、白髪の原因になるのか、ならないのか。

毛髪を優先に考えた栄養論は本末転倒で、「カラダ全体の栄養バランスを最優先」にした食生活が大事です。

 

白髪を改善する栄養(食材)は、存在するのか、しないのか。

チロシンとチロシナーゼを補う食材は存在しますが、黒髪がもどる可能性は、25%以下と考えてください。

 

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