白髪の増える理由について|老化(20~90歳)で何が変わるのか?
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2020/05/26
白髪の原因は4つあり、そのうちの1つと老化との関係が、急速に解明されつつあります。その内容を本題で説明する前に、進展の著しいもう1つの領域、遺伝子研究の最前線を紹介します。
ニューズウィーク日本版の2016年3月22日号に掲載された、「DNAに働き掛けて白髪を退治」という記事。
オバマ前米大統領の白髪が増えたことを前ふりにして、2016年3月の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された研究記事を紹介しています。毛髪の色つやを決める遺伝子が、突きとめられたというものです。
出典:ニューズウィーク日本版
2016年3月22日号 78ページ
研究は多様な遺伝子を調べるために、ヨーロッパ系・アメリカ先住民・アフリカ系を混在させた、中南米の6000人を対象にしています。
IRF4という遺伝子は、メラニンの生成をコントロールしていて、毛髪が白くなるにつれて、メラニンの生産量をさらに減らすよう働きかけるようです。
PRSS53という遺伝子は、毛包(毛根を包む組織)の形を決める酵素の生成を左右しているそうです。毛包の形によって、直毛や癖毛(くせげ)など毛髪の特徴も決まります。
他にも毛髪の外見や感触に影響を及ぼす、18の遺伝子が特定されたとのことです。あごひげや眉の濃さ、左右つながった眉に関係する遺伝子まで、特定されているようです。
いずれ毛髪や眉・ひげの色や形を、お好みに合わせて自由に変えることのできる時代がくるのかもしれません。
その時には、年代の変化に伴って、好きな色や形を選べたりするのでしょう。
白髪の分類と増える理由
白髪の増える理由について説明する前に、1つだけ覚えておいてください。老化は、白髪の原因ではありません。なぜならば、年を取って、白髪にならない人もいるからです。
2006年6月8日 南山堂 発行の「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」。板見智 大阪大学教授と宮地良樹 京都大学教授による監修で、23名の医学専門家が執筆した論文集です。
144ページに掲載されている、白髪を分類した表を添付します。医学の専門用語が多いので、意訳しました。
出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療
毛髪最前線 表紙
1 【全身におよぶ境界線のない白髪】
1) 加齢にともなう白髪
2) 若白髪
a) 遺伝性のもの
b) 自己免疫によるもの(甲状腺機能亢進症、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)など)
3) 生まれた時からの白髪(白皮症など)
4) その他の白髪
a) 栄養障害によるもの
b) 自己免疫によるもの(尋常性白斑、甲状腺機能亢進症、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)など)
c) 放射線や薬剤などによるもの
2 【部分的で境界線がはっきりしている白髪】
1) 部分的な白皮症など
2) 自己免疫によるもの(尋常性白斑、円形脱毛症など)
3) 放射線や薬剤などによるもの
出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線 144ページ
【当サイト補足】
白皮症というのは、白蛇や白虎などにも見られるもので、全身や一部の皮膚に色がない疾患です。
原因は、チロシナーゼという酵素によるものであることが、判明しています。
免疫というのは、外敵が侵入した時に自分を守るために、攻撃を加える働きのことです。自己免疫とは、攻撃を自分の細胞に向けて加えてしまうものです。
尋常性白斑というのは、肌に白い斑点ができるもので、色素がないため、肌も毛髪も白くなってしまいます。
円形脱毛症は、長い間「ストレスによる」と言われてきましたが、近年になって重い円形脱毛症は、自己免疫疾患と考えられています。つまり毛髪を作り出す毛母細胞に向けて、自らが攻撃を行ってしまうということです。
黒髪の細胞のほうが攻撃の影響を受けやすいため、黒髪は抜けて白髪が残ることがあるようです。また回復期には攻撃を受けにくい白髪から生えてくる、ということもよくあるそうです。
以上の分類の中で、年齢に関係がある部分は2ヶ所(赤字)あります。「加齢(老化)にともなう白髪」と、「若白髪」です。この2つは、医学的に異なる分類のようです。
白髪の増える理由と老化について
「加齢(老化)にともなう白髪」と「若白髪」との決定的な違いを明らかにしてから、年とともに増える白髪の平均的な姿について、確認します。
南山堂の医学大辞典、白髪に関する解説を見てみましょう。白髪は医学の世界で、「白毛(はくもう)」と呼びます。
出典:南山堂 医学大辞典 表紙&1954ページ
医学的に、若白髪は優性遺伝性と結論づけていることが分かります。
さらに加齢と白髪との関係を、見てみましょう。「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」の145ページには、加齢とともに黒髪がどのように変化していくのか記述されているので、意訳しました。
一般的には30代後半から50代にかけて白髪が始まりますが、個人差は大きく、20代や30代の前半に白髪が生えることもよくあります。
20代までに白髪になれば、若白髪と呼びます。
平均的には50歳までに約50%の人が、毛髪の半分以上が白髪だと認めています。
出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線 145ページ
これが日本人の白髪における、平均値と考えてよさそうです。つまり20代までに白髪になれば、若白髪で優性遺伝によるものです。30代以降は、加齢(老化)にともなう白髪と考えられます。
ただし、優性遺伝とか加齢(老化)というのは、白髪の原因ではないことに注意してください。
白髪の増える理由について~老化による変化
白髪の原因は、4つ考えられます。そのうち「白髪の原因1」と老化のメカニズムについては、急ピッチで解明が進んでいます。白髪の増える理由についても、老化によって具体的に何が変化するのか、明らかになってきました。
白髪の原因について、詳しくは「毛髪の科学(全4回シリーズ)」をご覧ください。以下は、第1回目の記事です。
⇒ 白髪の原因とメカニズム解明!メラニン色素で黒髪に見える理由とは?
黒字部分の出展:FRAGRANCE JOURNAL
2014年3月 30ページ
(赤字部分は当サイトによる)
【白髪の原因1】
色素細胞の数が減った、またはなくなった。そのため、黒色の色素(ユーメラニン)を作り出すことができなくなった。
【白髪の原因2】
色素細胞の中で実際に色素を作り出すメラノソームという器官の数が減った、またはなくなった。そのため、黒色の色素(ユーメラニン)を作り出すことができなくなった。
【白髪の原因3】
メラノソームの中で作る色素の材料が減った、またはなくなった。
【白髪の原因4】
メラノソームの中で色素は作られたが、毛母細胞に運び込む輸送システムが働かなくなった。
これら4つの原因の中で、老化との関係が明らかになってきたのは、「白髪の原因1(色素細胞の数)」です。
色素細胞(メラノサイト)が、老化によってどのように変化していくのか、さらに深く見ていきましょう。
肌も毛髪も、色を決める大きな要素は色素です。これまでは「肌の美白」に関する研究が、「黒髪の復活」よりも優先されてきたといえます。
つまり色素の発生をおさえて、肌が黒くならないようにする方法を優先してきたわけです。化粧品の開発における色素の研究が、おおいに参考となります。
色素をつくるのは色素細胞(メラノサイト)で、色素細胞(メラノサイト)を作るのは色素幹細胞です。
さらに細かく見てみると、色素幹細胞が作り出す「メラノブラスト」という未熟な細胞を経て、色素細胞(メラノサイト)へと成長していきます。
出典:メナード 研究・商品開発
このメラノブラストの数が老化とともに減っていくようすを、「毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線」は掲載しています。
出典:毛の悩みに応える 皮膚科診療 毛髪最前線 151ページ
(赤丸は当サイトによる)
20~30歳、40~60歳、70~90歳で、明らかにメラノブラスト(赤丸部分)が減っていきます。つまり色素幹細胞が、老化にともなって衰えていくということです。
色素幹細胞と毛包幹細胞(注)との関係が、老化とともに変化するメカニズムも明らかになりましたので、「白髪の原因1」と老化との関係については解明されたといえます。
(注)毛髪をつくるのは毛母細胞で、毛母細胞をつくるのが毛包幹細胞です。
原因のメカニズムが明確になると、対処方法の研究開発も進展するはずです。冒頭に紹介した遺伝子による解決と、どちらが早く実現するのか、楽しみですね!
白髪の増える理由について~まとめ
白髪の増える理由については、「白髪の原因1」と老化との関係(メカニズム)が、明らかになってきました。
老化とともに、メラノブラストの数が減ることに加えて、毛包幹細胞と色素幹細胞との相互システムも解明されています。
メカニズムが判明すると、改善方法の研究アプローチが決まるので、さらに解明が加速化します。遺伝子による解決アプローチとの、競争になるのではないでしょうか。
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