白髪の原因 白髪の対策・改善

白髪の原因と予防や改善!遺伝子レベルで治す薬の研究が急速に進展中

 

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2020/05/26

 

生薬というのは、発見するまでに長い年月が必要であると、容易に想像できます。本当に病が治るかどうか確認するだけでも、かなりの時間を要するはずだからです。

 

ところが近年は、分子や遺伝子レベルでの研究や開発技術が確立してきたので、効果を検証するスピードが猛烈に早くなったといえます。

ねらった効果に関連する遺伝子が、増えたのか減ったのか、数の増減を計測すれば結果が分かってしまうのです。

 

最近の著しい研究の進展ぶりを見ると、新薬が先か生薬が先か、予防が先か改善が先か、どこから実現しても不思議ではない状況になっています。

うれしい悲鳴といっても良いほど、期待の膨らむ時代が訪れたのではないでしょうか。

 

今回は、脱毛や白髪を予防・改善する研究の最前線を追いながら、生薬を中心にした急速な進展を紹介します。

 

白髪の原因~薬はどこを治すのか

脱毛や白髪を治す薬の研究を紹介する前に、かんたんに白髪の原因を復習しておきます。生薬や新薬が、どの原因を解消することで、予防や改善に効果があるのか、確認するためです。

毛髪はもともと白髪なので、黒色の色素(ユーメラニンといいます)が運びこまれなければ、もとの白髪にもどってしまいます。つまり、白髪の原因とは、色素メラニンが毛髪に届けられるまでの経路のうち、どこかで途切れてしまうことにあるわけです。

 

具体的には、以下の4つが考えられます。白髪の人は、そのうちの1つ以上に該当するはずですから、薬が治す部分と一致すれば、予防または改善が実現するということです。

 

 

【白髪の原因1】
色素メラニンを作る、色素細胞の数が減るか、なくなった。

【白髪の原因2】
色素細胞の中で、じっさいに色素メラニンを作る、メラノソームの数が減るか、なくなった。

【白髪の原因3】
メラノソームの中で、色素メラニンの材料であるチロシン(たんぱく質)または、反応を活性化する酵素チロシナーゼの数が減るか、なくなった。

【白髪の原因4】
色素メラニンは作られたが、毛髪に運びこむための輸送システムが、機能しなくなった。

 

詳しくは、「毛髪の科学(全4回シリーズ)」をご覧ください。以下は、第1回目の記事です。
⇒ 白髪の原因とメカニズム解明!メラニン色素で黒髪に見える理由とは?

 

白髪を治す薬の研究~生薬による予防

色素幹細胞(色素の親分)は、毛包幹細胞(毛髪の親分)の指令を受けて、活性化することが分かっています。2つの幹細胞が衰えるのを防ぐ薬があれば、白髪と薄毛の両方を治す(または予防する)ことが可能となるはずです。

例えばコーセーは、ビワ葉エキスとシャクヤクエキスの成分に、毛包幹細胞と色素幹細胞の遺伝子損傷を抑制する効果があることを証明しています。「白髪の原因1」に対する、予防効果です。

 

出典:株式会社コーセー
NEWS RELEASE 2013.11.22

 

画像左は植物エキス無添加で、赤色が遺伝子の損傷を示す部分です。いっぽう、画像右のように植物エキスを添加することによって、損傷は抑制されていることが分かります。

毛包幹細胞と色素幹細胞を守るということは、脱毛と白髪を同時に予防する効果が期待できるわけで、もはや化粧品というよりも、生薬となる可能性を秘めているといえるでしょう。

 

白髪を治す薬の研究~生薬による予防と改善

次は、白髪どころか薄毛も治す薬として、期待される研究を紹介します。この生薬は予防だけでなく、改善も可能となるようです。「白髪の原因1~3」に対する、予防・改善効果といえます。

2016年1月にフレグランスジャーナル社が発行した、「FRAGRANCE JOURNAL 2016-1」。「育毛作用と抗白髪作用を併せ持つ新規素材・アキノノゲシエキス」という論文が掲載されています。

著者は、東洋新薬の尾上貴俊・森川琢海・北村整一・鍔田仁人さん、4名です。

 

出典:FRAGRANCE JOURNAL 2016-1 表紙

 

題名のとおり、アキノノゲシ(キク科アキノノゲシ属)という植物から、抽出されるエキスが主役です。日本やアジアで広く分布する、一年草または二年草で、大きいものは高さ2mほどにもなります。

題名を見てビックリ、薄毛と白髪の両方に対する予防・改善効果があるというのですから、実現すれば最強の生薬となるはずです。

 

薬用植物 アキノノゲシ

熊本大学薬学部の、鹿児島県アイランドキャンパス事業が提供している、「沖永良部島調査、薬用植物リスト」(2013年11月13日~18日)。この中に、「アキノノゲシ 地上部:咳止め、咽の痛み、黄疸など」という記述があります。

リストには、なんと411種類の薬用植物が、掲載されていました。

 

出典:熊本大学薬学部鹿児島県アイランドキャンパス事業
(赤字は当サイトによる)

 

話はそれてしまいますが、鹿児島県アイランドキャンパス事業というのは、鹿児島にある熊本大学のキャンパスという意味ではありません。

鹿児島県離島振興協議会が、大学や短大などの学外における研究活動の場として、鹿児島県の離島を提供しているものです。熊本大学薬学部が平成25年に応募して、沖永良部島で行った研究活動の成果ということになります。

 

 

レポートに、野生のシークワーサー(和名:ヒラミレモン)の薬効は、「果実:抗アレルギー、高血圧予防、血糖値予防、抗腫瘍など」とも書かれていました。

 

色素メラニンを作る力

話をアキノノゲシに戻すと、韓国の一部地域では、抗炎症・抗菌・整腸作用のある薬として利用されてきたことが、論文に記述されています。これまで、世界中であまり着目されてこなかった植物です。

というよりも、過去のやり方では薬効成分を発見するのに時間がかかり過ぎて、アキノノゲシにまでたどり着かなかったのではないでしょうか。

 

 

実験内容から、マウスに比べて「細胞や遺伝子を解析する方法」は、効果を知るまでの時間が非常に短いことが分かります。

 

マウスを用いて育毛効果を確かめるのに、必要な期間は約1ヶ月。まず5日間ほど飼育環境にマウスを慣れさせてから、4週間のあいだ1日1回エキスを塗布し続け、その後に効果を確認します。いかにも、生き物を相手にした研究の時間感覚です。

結果のほうは注目すべきもので、アキノノゲシエキス3%の溶液によって、試験開始28日目には、3%ミノキシジルと同じ育毛効果が得られています。

 

毛乳頭細胞(白人40歳女性のもの)を使った実験では、育毛効果は48時間後、メラニン生成効果は72時間後に測定、という驚くべき速さです。

植物エキスを添加して細胞を培養し、目的の遺伝子数やメラニン数を解析するという段取りですから、これほど短い期間で終了してしまいます。

 

実験結果は下図のとおり。Controlというのは何も添加していない場合で、結果を比較するためのサンプルです。

左図はVEGFという毛髪の成長に関係する遺伝子を調べたもので、アキノノゲシエキスを50μg/mL添加したとき、明らかにVEGFが多く現れています。

 

 

右図は、メラニンの産生量の変化を示しています。テオフィリンという成分はメラニンの生成を促進するのですが、若干の細胞毒性も認められるようです。

いっぽうアキノノゲシエキスのほうは、やはり50μg/mLの添加によって、全く細胞毒性が認められないまま、強いメラニン産生の力があると確かめられました。

 

マウスによる実験は、生き物の変化を追いながら、目視による確認も欠かせません。

ところが実験室の場合は、培養とデータ解析という研究手法によって、短期間で結論を得て次のステップに進むことができます。効率面で大きな違いです。

 

アキノノゲシに限りませんが、自然界にはヒトの毛髪を成長させる遺伝子を増やしたり、メラニンの生成を促進する成分を含む植物が存在します。

これまでは、肌の美白を追求するために、「メラニンの生成を抑制する作用を持つ植物」が研究の最優先となってきました。いまや、メラニン生成を促進する分野にも、研究が着手され始めたようです。

 

美白と黒髪、永遠の課題に対する答えが、いずれ提供されるのでしょう。最終的な目標は、「肌は白く」「髪は黒く」を両立すること、にあると考えられます。

 

 

白髪を治す薬の研究~新薬による予防と改善

最後は、白髪を治す薬として、急ピッチで研究開発が進んでいる例を紹介します。こちらは、生薬ではなく、新薬。「白髪の原因1~3」に対する、予防・改善効果といえます。

 

先ほどと同じ「FRAGRANCE JOURNAL 2016-1」に掲載された、「白髪を防ぎ、メラニン合成を活性化する機能性ペプチドの効果の検討」という論文。

著者は、聖マリアンナ医科大学 形成外科学内幹細胞再生医学講座 特任教授 井上 肇さんと特任講師 佐藤有里さんです。

 

ペプチドという言葉は、あまりに専門的なので深入りしません。最初に紹介したビワ葉エキスの成分は、自然の植物に含まれるペプチドを有効成分とするものです。

この論文では、「化学的に合成することのできるペプチド」を研究の対象としています。

 

 

この研究で明らかになった、「機能性ペプチド」の特性は、次のような点です。

 

【1】 色素細胞に対する毒性はない。

【2】 色素細胞のメラニン生成が活性化される。特に、チロシナーゼの活性化に貢献する。

【3】 メラニンを毛母細胞に運び込む、「輸送システム」に関連する遺伝子にも、効果がある。

【4】 傷ついた遺伝子の修復に関連する遺伝子にも、効果がある。

 

遺伝子レベルでの研究が進むことで、従来と比べて恐るべきスピードで生薬や新薬が開発されつつあることを、お分かりいただけたのではないでしょうか。

 

白髪を治す薬の研究~まとめ

生薬、新薬ともに、白髪を治す薬の研究は、急ピッチで進められています。従来の開発方法とは異なり、分子や遺伝子レベルでの研究技術が著しい進歩をとげているからです。

マウスのような生き物で確認していた結論を、約10分の1というスピードで、知ることができるようになったのです。

生薬と新薬どちらが先なのか、予防と改善どちらから実現するのか、その可能性も急速に広がっているといえるでしょう。

 

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