白髪の原因

白髪の仕組みとは~老化(加齢)と幹細胞とコラーゲンの謎が解かれた!

 

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2020/05/26

 

2016年2月、東京医科歯科大学の西村栄美教授らによる研究チームの発表が、話題になりました。

報道ステーションや各局のニュースで取り上げられ、米科学誌サイエンスにも掲載されました。薄毛や白髪で悩む人たちにとって、大きな朗報だったのです。

 

それまで解明されていなかった、加齢による脱毛と白髪の仕組みが明らかになり、幹細胞の活性化に「17型コラーゲン」が必須だと判明したというのです。

「17型コラーゲン」の役割については、すでに2011年には、西村教授らによって報告されています。2002年に西村教授が、初めて色素幹細胞の存在を報告されてから、9年後のことです。

 

 

2011年 日本皮膚科学会雑誌 「第110回 総会・学術大会号」。西村教授による、特別講演の内容が掲載されています。

2016年の発表で新たに加わったのは、加齢によって毛包幹細胞がおとろえていくメカニズムまでが、説明されているところです。

 

従来は、男性の脱毛の原因は男性ホルモンで、女性の脱毛はさまざまな理由があるというのが、通説でした。

西村教授らの研究内容が波紋を広げたのは、男女に共通した「加齢による脱毛のメカニズム」が判明したからでしょう。

 

ここまでをご覧になって、コラーゲン・サプリの購入に走らないでください。その理由は、「脱毛と白髪の関係」とともに、記事で詳しく説明します。

 

白髪とは

そもそも毛髪は、もともと白髪です。黒色の色素が毛髪に入りこむことによって、毛髪は黒髪になるのです。つまり白髪とは、黒色の色素が運びこまれなくなって、もとにもどった状態といえます。

では、なぜ黒色の色素が、毛髪に運びこまれなくなったのでしょうか。その原因は、黒色の色素が作られてから、毛髪にたどり着くまでの経路を確認すれば知ることができます。

黒色の色素が毛髪に運びこまれる経路のうち、どこかが途切れてしまえば、黒髪は白髪にもどってしまうということです。具体的には、以下の4ヶ所が考えられます。

 

【白髪の原因】黒字部分の出展:FRAGRANCE JOURNAL
2014年3月 30ページ

カラー部分の出展:細胞工学
2013年 第32巻 第10号 1039ページ

(赤字部分は当サイトによるものです)

 

【白髪の原因1】
黒色の色素(ユーメラニンといいます)を作り出す、色素細胞が減るか、なくなった。

【白髪の原因2】
色素細胞の中で、じっさいに色素を作る「メラノソーム」という小器官が減るか、なくなった。

【白髪の原因3】
メラノソームの中で、色素を作るための材料が減るか、なくなった。

【白髪の原因4】
色素は作られたが、色素を毛髪に運びこむための輸送システムが、機能しなくなった。

 

冒頭で紹介したニュースは、「白髪の原因1」にあたる部分のメカニズムのうち、老化(加齢)との関係が解明されたというものです。

もちろん、白髪の全容が明らかになったとは言えませんが、大きな前進であることは確かです。その具体的な内容を、掘りさげてみましょう。

 

白髪の仕組み~老化(加齢)と幹細胞とコラーゲン

老化(加齢)による白髪の仕組みを知るうえで、2つの予備知識が必要となります。1つ目は、コラーゲンとはタンパク質の1つということ。2つ目は、毛髪に関係する幹細胞には、色素幹細胞と毛包幹細胞の2種類あるということです。

黒髪のもとである色素を作るのは色素細胞で、その色素細胞を作るのが色素幹細胞です。いっぽう、毛髪を作るのは毛母細胞で、毛母細胞を作るのが毛包幹細胞。このあたりが、ややこしいところではあります。

 

つまり、黒髪となるには、「色素幹細胞 ⇒ 色素細胞」と「毛包幹細胞 ⇒ 毛母細胞」の、2セットとも整う必要があるということです。

 

 

一般的に、2つの異なる幹細胞は独立していて、お互いに関係しません。ところが毛髪に関する2つの幹細胞は、独立していないのです。

どちらかというと、毛包幹細胞から色素幹細胞への一方的な影響、といえるかもしれません。

 

なぜならば、色素幹細胞が活性化して、黒色の色素(ユーメラニン)を作るように指示を出しているのは、毛包幹細胞だから。

具体的には、「TGF-βシグナル」が毛包幹細胞から送られることによって、色素幹細胞が活動するようです。毛髪の全体システムにおいては、毛包幹細胞が大親分といえるでしょう。

 

 

17型コラーゲンのないマウスは、すぐに白髪と脱毛が見られ、加齢が進むとさらに進行するそうです。その原因は、加齢とともに色素幹細胞も毛包幹細胞も、数が減っていくからだということが分かりました。

 

出典:2011年 日本皮膚科学会雑誌
第121巻 第13号 2644ページ

 

そして驚くべきことに、このマウスの毛包幹細胞だけに17型コラーゲンを供給すると、脱毛も白髪も回復するというのです。

以上から、毛包幹細胞の維持には、17型コラーゲンが必須であると分かります。結果的に、2幹細胞全体の維持システムに、17型コラーゲンが必需品だと判明したのです。

 

白髪の仕組み~17型コラーゲンはなぜ減る?

以上が、17型コラーゲンで、2つの幹細胞が維持される仕組みです。老化(加齢)とともに、毛包幹細胞がおとろえて、脱毛と白髪が発生します。

次は、老化(加齢)とともに、17型コラーゲンが減る原因は何なのか、ということです。17型コラーゲンの必要性は、すでに2011年には発表されていましたが、さらに大きく進展した部分がこの点にあります。

 

毛髪には、成長期・退行期・休止期というサイクルがあります。このサイクルを繰り返すたびに、遺伝子が傷つくそうです。

 

 

若いうちはみずから修復できるのですが、しだいに傷が蓄積していき、修復には酵素が必要になってくるようです。しかもその酵素は、17型コラーゲンを分解する性質を、持ち合わせているといいます。

優先順位の高い遺伝子修復のために、17型コラーゲンを失い、その結果として毛包幹細胞が寿命を終えてしまう、というメカニズムです。

 

ちなみに寿命を終えた毛包幹細胞は、しだいに小さくなりながら表皮に近づいていき、最後は毛穴から外に出てフケやアカとなるとか。

毛穴も、最終的にはなくなってしまうそうです。

 

だったら17型コラーゲンを摂取すれば良いのでしょう、とはなりません。

17型コラーゲンはタンパク質ですから、摂取しても消化されて、最終的にはアミノ酸にまで分解されます。そして体の中で、さまざまな必要タンパク質を合成していくわけです。

 

ですから、体によって17型コラーゲンが作られるのを、待つしかありません。

西村教授らの研究チームも、17型コラーゲンを増やす方向ではなく、できるだけ減らないようにする方向で、薬品などを開発していかれるようです。

 

白髪の仕組み~幹細胞といえば

いまでこそ色素幹細胞と毛包幹細胞の知名度はあがりましたが、白髪の仕組みより前から有名だった、幹細胞の話題を1つ。

幹細胞といえば、今では知らない人がほとんどいないという「iPS細胞」、正式には人工性多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)といいます。京都大学の山中教授が、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、その名をとどろかせました。

 

「iPS細胞」の名付け親は山中教授だそうですが、世界中で人気のiPodのように世界へ広まって人々の役に立つよう、最初の文字を小文字にしたそうです(出典:「ほんとうにすごい!iPS細胞」岡野栄之 著)。

iPS細胞とは何なのか、簡単に整理しておきます。

 

【どのような細胞なの?】
人の皮膚などの細胞を採取して、わずかな因子を加えて培養することによって作られる細胞です。この細胞は、臓器などさまざまな細胞になる能力と、無限に増える能力を持っています。

わずかな因子で人の体細胞からiPS細胞を作り出す技術を開発したのが、山中教授のグループです。

【どのように活用するの?】
大きく注目されているのは、再生医療への応用。iPS細胞からさまざまな細胞に変化させて、体に移植することで失われてしまった機能を回復するということです。

たとえば糖尿病であれば、血糖値を調整する能力を持つ細胞に変化させて移植する。神経を切断してしまった際に、神経細胞へと変化させた細胞を移植する、といった方法になります。

現在までに、iPS細胞から様々な組織(神経・心筋・血液など)や臓器の細胞が、つくられているそうです。ただし、今のところ細胞までの成功で、人間に移植できる立体的な臓器まで完成した例はありません。

【活用によるメリットは?】
自分の細胞から作られたものを移植するのですから、臓器移植などで問題になる免疫反応(外敵を攻撃する作用)が起こらない、というのが大きなメリット。

山中教授のグループでは、6歳から81歳までの日本人の皮膚から、iPS細胞を作製することに成功しているそうです。しかも、それらのiPS細胞の多様性に大きな違いはないというのですから、期待は大きく膨らみます。

出典:京都大学 iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)

 

毛髪にかぎらず、細胞や遺伝子のレベルで研究開発の進展していることが、近年の最も大きな特徴といえるのではないでしょうか。

 

白髪の仕組み~老化(加齢)と幹細胞とコラーゲン~まとめ

「白髪の原因1」のうち、老化(加齢)による仕組みは、ついに解明されました。色素幹細胞に対して活性化の指令を送る毛包幹細胞と、それらの維持システムに必須である17型コラーゲン。

これらのバランスがくずれ、脱毛と白髪は発生します。近い将来には、西村教授らの研究チームが、17型コラーゲンの減りにくい方法を発見することでしょう。

17型コラーゲンは口から摂取しても分解されてしまいますから、くれぐれもサプリなどを求めることのないよう、注意してください。

 

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